がん患者1700人治療医師がYouTubeで語る真実 「標準治療」にまつわる誤解はなぜ多いのか

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宮崎善仁会病院の消化器内科・腫瘍内科の押川勝太郎医師。押川医師『がん防災チャンネル』から
(写真:筆者撮影)

日本人の2人に1人が、がんと診断される時代。そんな身近な病気であるにもかかわらず、我々はがん治療について、多くを知らないどころか、たくさんの間違ったイメージを持っていたりする。

『がん防災チャンネル』というYouTubeチャンネルがある。宮崎善仁会病院の消化器内科・腫瘍内科の医師で、現役のがん治療医である押川勝太郎さんが開設したこのチャンネル。ほぼ毎日更新される動画では、がんやがん治療についての考え方などが紹介されている。

そのチャンネル名が表すように、押川医師はがんを“災害のようなもの”だと捉えている。平時には「自分だけは大丈夫」と思っていても誰もが被害に遭う可能性がある災害に、「自分だけはかからない」と思いがちながんをなぞらえているのだ。

「がんを宣告されると、誰もが頭が真っ白になり、『まさか自分が……』と思います。これは仕方がないことです。でも、正しい知識があれば、がんと診断されて動揺しても対処ができます。つまり、がんは災害と同じで備えが大切なんです」(押川さん)

がんになると人は不安にかられ、自分を救ってくれるような情報を求めてしまう。それは人間の心理であり、防ぎようがないことだ。ただ、そのときに病気や治療のことをネットで検索しまくることは、決して勧められたものではないという。

ネット上のがん情報のほぼ半分は「正確ではない」

「ネット上に載っているがん情報の、ほぼ半分が正確ではないという調査(※)もあります。しかし、一般の人にはそれを見極める知識や技術が備わっていません。その結果、自由診療を謳うクリニックの治療法がまるで“最先端のよい治療”のように思えてしまう。しかし、日本には、保険診療の範囲で行える現段階で最も有効とされる治療がある。それをなんとなくでもいいので、“がんにかかる前”に頭に入れておくことが、がんに対する備え、がん防災につながります」(押川さん)

がん治療で誤解されやすいものの1つに「標準治療」がある。その名前のため、「一般的」や「普通の」といったニュアンスで捉えられがちだが、「標準治療とは、大勢(数百人~数千人)の臨床試験の結果を客観的に評価して、“現段階で最も有効性のある治療”と認定されたもの」と押川さんは説明する。

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