出産後、社会復帰できるのだろうか?
キャリアに空白ができたら、転職することになったときに不利になるのではないだろうか?
けれども、MBAではそんな不安を吹き飛ばすほどの勉強をしてきたはずだし、先輩MBAママたちを見ていると、何とかなるだろうと思えた。それより何より、不安を上書きするほどのつわりが、私の日常をむしばんでいたのである。
妊娠中もバリバリ仕事をこなし……なんていう女性の話があちこちで美談として取り上げられていて、私もそうなれるもんだと思っていたけれど、あれは体質的にそれが可能だったというだけで、どうしようもなく気持ちが悪くなってしまい、仕事を継続できない女性も、その陰に何万人といたのではないか。
そんなことを思いながらソファに横たわり、iPhoneで「つわり いつまで」「つわり きつい」などといった単語を検索する毎日。結局つわりは産むまで続き、後期には切迫早産で入院するというフルコースの妊娠だった。
PDCAを超えたDDDD!
年末に処女作『マンガ 日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本』が上梓でき、その数週間後に第1子を出産した。マックスマーラどころか、出産前のジーンズも履けず、ジャージにスウェットという田舎のヤンキーみたいな格好で、赤子のうんちの始末で1日が終わる。うっかり紙おむつを洗濯機で回してしまった際の、高分子ポリマーの後処理がここ最近のいちばんの悩みだ。3時間ごとの授乳で、時間感覚も曜日感覚もないまま、気がつけば年を越えた。
妊娠・出産・育児というのは、また新たな試行錯誤の連続であり、どんなキャリアウーマンでも、仕事でのイケイケな過去というのは1回ここでリセットされるな、と、先にママになった主婦の妹に教えを請いながら実感する。
クイックPDCAをくるくる回し、多分回しすぎてPlan やCheckまでする余裕もなくDDDD(Do Do Do Do)になっていると思うが、とにかく日々オペレーションの改善に迫られる。首の座らぬ赤子を1人で風呂に入れるということですら最初は大冒険であり、後工程が楽になるようにあらゆる準備をして挑んだ。
少しずつ慣れてはきたが、それでもまた、日々新たな課題(雨の日にどうやって外出するか、チャイルドシートで寝てしまった赤子をどうやって家まで運ぶか、など)と直面する。しばらくはキャリアのことは頭の中の別の棚にしまい、この惑星にやってきた新しい仲間との生活を堪能するつもりだ。
この子がつかまり立ちを始める頃、仕事への復帰について悩むことも出てくるだろう。でも、あの崖っぷちで来世を思って憂いていた頃とは、何もかもが違う。
2年半の学生生活で得たたくさんの武器と、パートナーとともに、チャレンジを楽しんでいきたい、そう心から思う。
かんべみのりさんの新刊『マンガ 日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本』好評発売中!
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら