「もちつもたれつ」で生きのびてきた「神仏習合」 「2つの原理」で此岸と彼岸を行ったり来たり

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奈良県東吉野村にある「天誅組終焉之地史跡」(撮影:青木海青子)
古代・中世・近世の長きにわたって神道はどのように生きのびてきたのか。このたび上梓された島薗進氏著『教養としての神道:生きのびる神々』は、その問いに丁寧に答えた書である。
奈良県東吉野村で「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」を運営する『手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ』著者・青木真兵氏が、「2つの原理を往来する」という視点から同書を読み解く。

「天誅組終焉の地」でもある東吉野村

東吉野村に移り住んで、早6年が経ちます。

ぼくたちはこの山村に引っ越して、空き家だった築70年あまりの古民家を借りて自宅にしつつ、私設図書館として開きながら暮らしています。

教養としての神道: 生きのびる神々
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そもそもぼくがこの家に住みたいと思ったきっかけは、家の前に「史跡があること」でした。この地は「天誅組終焉之地」という石碑が立っていることからもわかる通り、天誅組が最期を迎えた場所です。幕末に尊皇攘夷運動を行ったこのグループは、幕府を倒して天皇の親政によって新しい国を作ろうと挙兵しました。

しかしあえなく情勢は変わり、追われる身になってしまいます。その最後の戦いが行われたのが東吉野村でした。天誅組には3人のリーダーがおり、そのうちの1人、吉村寅太郎が凶弾に倒れ、最初に埋葬された地こそがぼくたちが今住んでいる場所のすぐ目の前なのです。

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