ニューヨーク銃規制への「違憲判断」で広がる恐怖 乱射加速?アメリカの銃規制はさらに緩むか
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は判決直後、早ければ7月にも州議会を再召集し、既存の規制を維持できるよう新たな法律を制定すると明言。メリーランド州の民主党議員も、予想される法廷闘争を乗り越えるために法律を書き換える考えを示した。
ホークル知事は「私たちはすでに銃暴力の重大危機に直面している。これ以上、火に油を注ぐ必要はない」と語った。
今回の裁判は、銃所持許可証の発行で政府当局に実質的な裁量権を与える、いわゆる「メイ・イシュー法」をめぐるものだった。ジョー・バイデン大統領は「深く失望した」と述べて判決を非難。「常識と憲法の両方に反しており、私たち全員を深く悩ませることになる」とした。
個人が銃携帯の理由を説明する必要はない
銃の権利擁護派は23日の判決を歓迎。「憲法修正第2条が定める武器を携帯する権利が自宅に制限されないことを最高裁は明確にした」と、銃産業の主要業界団体である全米射撃スポーツ財団(NSSF)の幹部、ラリー・キーン氏は述べた。「規制の正当性を説明する責任は政府にある。(銃を携帯する)権利を行使する必要があることを正当化するために、個人が政府に説明する責任はないということだ」
ウォール街では銃器メーカーの株価が上昇。スミス・アンド・ウェッソンは9%を超える値上がりとなった。
銃規制団体「ブレイディ」の弁護士、ジョナサン・ローウィは今回の判決は重大な誤りだとし、「最高裁は今日、ペンをさっと走らせるだけで、弾丸を込めた銃を事実上どこにでも持ち運べる権利、つまり潜在的に他人を撃ち殺す権利を生み出した」と声明で述べた。
この裁判は、ニューヨーク州で許可証の発行を拒否された2人の男性が、「州は、法に従う一般の市民が許可証を得ることを事実上不可能にしている」として提訴した訴訟が中心となっていた。