山手線で突然「心肺停止」彼女が感じた怪しい予兆 「まさか、もしも」は誰にでも起こる可能性がある

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「心臓疾患は、最初の発作で致命的な場合もあるため、100%とは言えませんが、予兆があることのほうが多いです。心筋梗塞の場合は、数日からせいぜい1、2週間前。一般的には1カ月以内の症状です。僕はネクタイの範囲と表現していますが、のど、あごがつまる、胸が圧迫される症状。瞬間的なズキっとしたものではなく、数分~十数分と、長く感じる場合。

発症時間帯は、心筋梗塞は関係ありませんが、突然死の原因になる冠攣縮性狭心症は朝に起こりやすく、少し経つと症状は消えるのが特徴です。こういった典型的な症状なら1回でもあれば、すぐに医療機関に相談することが大事だと思います」

私の主治医である東京都済生会中央病院・循環器内科の鈴木健之医師が言うとおりで、私は冠攣縮性狭心症の典型的な予兆を放置したのです。「いつもと違う」と少しでも心臓に異変を感じたら、早めに医療機関に足を運んでいれば、「隠れ心臓病」から身を守ることができたに違いありません。

突然の心疾患で、AEDが効かないケースとは!?

最近はあちこちで見かけるAED(自動体外式除細動器)ですが、改めてその仕組みをおさらいしておきましょう。AEDは心臓が痙攣して血液を流すポンプ機能を失った状態、つまり「心室細動、または無脈性心室頻拍」になった心臓に対して、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための医療機器です。AEDは心臓の状態を自動診断し、心室細動、心室頻拍と判断した場合のみ作動します。

心室細動、心室頻拍以外の不整脈や心停止には電気ショックの指示が出ません。また間違ってボタンを押しても作動しません。ですから、助けることができるのは、心室細動、心室頻拍を起こしている人だけ。私は「冠攣縮性狭心症」での心室細動で作動したのですが効きませんでした。どうしてなのでしょう?

「まず心室細動のほかに心房細動という症状があります。これは心房の電気信号が異常を起こしている頻脈です。起きてしまっても心臓から血液が全身に送り出されるため、すぐに命にかかわる可能性は低いですが、重篤な脳梗塞や心不全をおこす危険性があるので要注意です。

一方、心室細動に至ると、心臓から血液が送り出されなくなり、心停止の状態になってしまうため、直ちに命にかかわります。心室細動は、心臓が原因で起こる突然死の原因のうち約8割を占めているといわれています。

心室細動が起こったら、すみやかにAEDで電気的な刺激を心臓に与えて、心臓の動きを正常な状態に戻すのが重要です。心室細動であっても、重度なものや、電気ショックを行うのが遅れたときなどは、使っても救命できないこともあります。

しかし、使わなければ助かる可能性はずっと低くなりますし、使って状態が悪化することもありません。できるだけ早く、できれば3分以内に電気ショックをかけるのがよいとされています。

さらにAEDが到着するまで、およびAEDを使った後、呼吸がなければ心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行うことも大切です」(鈴木医師)

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