「間違いを認められない人」の残念すぎる真実 「わかっている」のと「できる」のでは大違い

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人間の脳の特性上、思考に影響を与え、ときに判断をゆがませてしまう「認知バイアス」の存在をみなさんもご存じだろう。

◎自分に都合のよい証拠だけを集めれば、だまされるのは簡単である
◎誰かが何かバカなことを言っているように見えたら、その人を誤解していると思うべき
◎自分に確信があっても、間違っている可能性はある

「そんなことわかってる」と言う前に

こうした原則は当たり前のように聞こえるし、「そんなことはわかっている」と思うかもしれない。だが原則をただ言葉として読んで「そんなことはわかってる」と思っているのと、実際に自分の考え方を変えるまでに納得することには大きな隔たりがある。

自分の間違いに気づき、その理由を考え、自分こそが認知バイアスにとらわれていたことを痛感する……。そういう直接的な体験を通さなければ、自分の血肉にすることは難しい。

俯瞰的な思考を持つ人は「間違いを認める」のではなく「アップデートする」と言うことがある。これは確率論の専門用語で、新たな情報を得た後で確率を修正する方法を表す「ベイズ更新」に由来している。

アップデートとは、日常的にひっそりと行われるものだ。大げさな罪の告白とは正反対だ。アップデートとは、それまでのものを失敗だと見なさずに、よりよいもの、より新しいものに変えていくことだ。

世界最大のライブストリーミング・プラットフォーム「ツイッチ」のCEO兼共同設立者エメット・シアーは、もともと自分の間違いを認めるのが苦手だった。だが、「間違い=失敗」ではないと理解することで、しだいにそれができるようになっていった。

「年を重ねるごとに、間違えるのがラクになってきました。そもそもそれは間違いではなく、単なるアップデートなんです。〝新しいことを学ぶ。ただそれだけだ。それの何が問題なのか?〞こんなふうにね」

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