日本に自動車生産は残るのか?--トヨタ、日産の賭け “最後”の国内工場(上)

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新型ハイブリッド含め 年50万台規模で生産

もっとも、東北での部品メーカーとのネットワークはまだ形成途上。調達戦略は宮城工場の大きな課題だ。葛原徹・セントラル社長は「現状では現地調達率は20%程度だが、12年には40%にしたい」と語る。

「小型車については、あくまで東北がメインになる。将来的には大半を東北に移す」(トヨタの新美副社長)という方針はサプライヤーにも伝わっている。トヨタ系各社には昨年末の段階で、「11年には関東自動車工業岩手工場とセントラル宮城工場の2拠点で年47万台を生産する」という方針が内示された。これは、今年末にも関東自動車岩手工場で生産が開始される、新型の小型ハイブリッド車を含んだ数字と理解されている。

サプライヤーもようやく動き始めた。デンソーはリーマンショックで一度は東北への進出計画を凍結していたが、今年5月には子会社、デンソー東日本のカーエアコン工場を福島県田村市で稼働させる。予定から1年半遅れで、規模は計画の4分の1に縮小された。

当面は室内ユニットの組み立てだけで、構成部品はすべて愛知県内の工場から送る。「エアコン部品の現地生産や追加の投資は、東北でのトヨタ車生産の拡大に合わせ考える」(森本有二・デンソー東日本社長)。プレス部品の豊田鉄工が、14億円で計画していた宮城県登米市の新工場への投資を40億円に引き上げる、といった動きもある。今後は徐々に部品産業が集積されていきそうだ。

宮城工場のノウハウは海外拠点にも順次展開していく。車の横送りラインは、昨年12月にインドで生産が始まった低価格戦略車「エティオス」の工場に導入済み。今年秋に稼働する米国のミシシッピ工場、来年に稼働する中国・長春やブラジルの新工場にも採用される。

国内では、おひざ元=愛知県の工場群の再生、という課題が残る。東北への小型車移転も進む中で、愛知県下での車両生産は一段と減る可能性がある。トヨタの生産革新は、それでも利益を出す仕組みを生み出せるのか。カイゼンへの取り組みが終わることはない。

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(西村豪太、並木厚憲 =週刊東洋経済2011年3月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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