日本に自動車生産は残るのか?--トヨタ、日産の賭け “最後”の国内工場(上)

新美副社長は自らへの“戒め”として、1枚のペーパーをいつも持ち歩く。トヨタの国内外での生産台数を記録した、簡単な棒グラフだ。赤ペンで増産の推移をたどった線は、2002年から07年(過去ピークの872万台を生産)にかけて急角度で上昇している。

「人の育成を考えても、あんな拡大はありえない。絶対に繰り返してはいけない」(新美副社長)。08年秋のリーマンショックで大減産と赤字転落を経験したトヨタは、内外で生産体制の再編成を進めている。

国内では生産能力を絞り込む。09年春から休止している愛知県の高岡工場・第2ライン(年産22万台)は、当初11年とした操業再開を13年に持ち越した。同じ愛知県の田原工場では、それぞれ年産22万台の能力を持つ第1・第2ラインを11年末までに統合する計画だ。市場変化に対応していくため、生産ラインの汎用性引き上げも進める。

地域的には九州を「レクサス」など高級車の生産拠点とする一方で、小型車は系列車体メーカーの関東自動車工業とセントラルが工場を持つ東北へとシフト。地域内での生産車種の融通をやりやすくし、柔軟に需要変動に対応する構えである。

稼働率3割の苦境でも眠らなかったカイゼン

セントラルの宮城移転が決まったのは、07年10月のこと。まさにトヨタの絶頂期で、この年の国内生産台数は422万台と、過去最高だった90年の421万台を超えた。

当時は、セントラルも設備能力を目いっぱいに使ったフル生産中。だが、稼働から半世紀を経た相模原工場では、老朽化対策が喫緊の課題だった。敷地が狭いゆえに、工場を稼働させながら設備を更新するのは無理だ。そのため誘致に手を挙げた宮城県への移転が決まった。

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