「奨学金440万円」女性が親に勘当された仰天理由 返済免除の予定だった「看護奨学金」の落とし穴

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ネットワークビジネスの件はもちろん、公務員を2年半で辞めたというのが許せなかったのでしょう。しかも、5年勤めきれず、奨学金(修学資金)を全額返済しなくてはならなくなったと思ったのも、影響していたんだと思います」

奨学金返済免除もナシに…なると思いきや

こうして、仕事を失った前田さん。住んでいた寮も出て行かざるをえなくなり、近所の総合病院でアルバイトとして働くこととなるが、奨学金はどうなったのだろうか?

「今まで働いた分がリセットされてしまい全額返還になってしまうのかな、と思っていたのですが、奨学金(修学資金)の事務所に相談してみたところ、同じ県内の病院で、退職から入職までのブランクがなかったため、新たな病院で3年働いたら返済免除になることに。実は200床未満の小規模病院だと、5年ではなく3年で返済免除だったんですよ」(※なおこれは当時のルールで、現在は変わっている)

制度の設計に助けられる形で、首の皮一枚つながった。そして、新しい病院での看護業務は大学病院とは、大きく異なる環境であり、これが彼女には合っていた。

「大学病院がキツすぎて合わなかったのですが、町の病院は私にすごく合ったんですよ。大学病院時代は、夢の中でずっとナースコールが鳴るような状態だったんですが、町の総合病院は業務量も少ないし、ありふれた病気を扱っているので、レベルが全然違うんですよ。

公務員時代には支給されていたボーナスはなくなりますし、寮もないので一人暮らしの費用もかかったけど、月20日は働くので手取りで20万円程度はあって。だから、バイトでも食べていけました」

仕事に忙殺され気分が塞ぎ込んだことから始めたネットワークビジネスからも、ようやく足を洗う。

「ネットワークビジネスで騒ぎを起こして前の病院を辞めたのに、バイト先の病院でも懲りずに続けていたのですよね。だけど、散財したせいで、450万円あった貯金がとうとう100万円にまで減っていたんですよ。奨学金を返せる額だったのに……。そうして、やっぱりこれはおかしいと思うようになって、ついに辞めました。あれだけ頑張ったのに権利収入がまったくないのはおかしいと、ようやく気づいたんですよね」

失くした金は戻ってこないが、それでも、気持ちの面で楽になった前田さんは、ここから奨学金返済に本腰を入れ始める。

「大学病院で働いていた頃は毎月、第一種が1万円程度、第二種が2万円程度、合計3万円程度を返していました。それで、バイトを始めたときに、これからどれだけ返さないといけないのか、再度計算してみたところ、第一種が90万円、第二種が140万円も残っていたのです。

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