「奨学金440万円」女性が親に勘当された仰天理由 返済免除の予定だった「看護奨学金」の落とし穴

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そんな家庭状況だったが、父親の気持ちに応えるため、前田さんは3年制の看護の短大に入学。公立だったため、学費は安く、実家から通える距離でもあった。

「入学金や学費は相当安かったです。とくに地元の人間は優遇されるので、入学金も10万円程度で、学費も月2〜3万円。3年間で100万円程度しかかかってないので、親孝行ですよね。

一方で、借りたのは第一種奨学金(無利子)を120万円と、卒業後は地元の200床未満の病院で5年間働けば返済が免除されるお礼奉公付きの奨学金(修学資金)を120万円で、合計240万円。学費を考えると、ちょっと借りすぎですよね」

つまり、学費の倍の奨学金を借りたわけだが、その選択は間違いではなかった。看護師の資格を取得したのち、保健師の資格を取るために他県の国立大学に編入したのだ。そこに2年間通ったため、学生生活は合計すると5年間に及んだ。

「当時はまだ保健師という職業ができたばかりで、周囲に目指している人もいませんでした。でも、看護師に加えて保健師の資格もあったほうが、給与面でかなり変わってくるんですよ。それに、看護の業務だけではなく、特定保健指導、人間ドック受診者の面談、患者の健康指導など仕事にバラエティーが出るんですよね」

珍しいルートを歩むことになった前田さんだが、公立短大から国立大学へ進み、両親は喜んだ。

「卒業すれば学士だし、父親は国立ブランドというのが、いかに大事なのかということを昔から語っていましたしね。編入することで3年間借りた奨学金の返済は、まだ学生ということで2年間延ばしてもらいました。そして、国立といっても公立よりは学費が高かったため、新たに第二種奨学金(有利子)を200万円借りました。これで総額440万円ですね」

大学病院に就職も、職場が絶望的に合わず…

こうして、看護師であると同時に保健師にもなった前田さんは、卒業後は奨学金(修学資金)返済免除の指定施設のひとつであり、かつて通っていた短大の附属病院に就職する。

「1年目なので保健師よりも看護師の業務がメインになるのですが、大学病院というのが本当に自分には合いませんでした。内科から眼科まで混合という、なんでもやる病棟の仕事に慣れることができず、毎日17時上がりのはずが23時ぐらいまで残っていて、それでも仕事が終わらない。出来が悪いと言いますか、怖い先輩から『仕事の優先順位考えろ』と言われても、全然考えられないし、本当に飲み込みが遅かったんですよね」

次ページ返済免除を叶えるため、辞めるに辞められず…
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