合理的!「部活を外部委託」する学校の緻密な手順 聖学院中学校・高等学校が行う改革の中身

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だが、習熟度別授業はホームルームのクラスを解体し、習熟度別に分かれて授業が行われるため、1人の教員が休めば、学年全体のスケジュールを移動しなければならない。子どもの教育面で見た場合は個々にあったペースで学習を進められる利点が大きいのだが、教員側の労働条件でみると、代休が取りにくいというのはデメリットだ。

当初は“日替わりコーチ”のバラバラ指導に…

聖学院中学校・高等学校も習熟度別授業を取り入れている学校のため、代休は取りにくい。本来、教員が力を注ぐべきは授業のはず。部活動に時間を取られ、教科学習の準備時間が十分にとれないというのは学校運営側としても本意ではないだろう。子どものためにもならない。

そこで考えたのが、地域のスポーツ愛好者に部活動を手伝ってもらうという方法だった。

日野田教諭は卒業生や保護者などに声をかけ、サッカー経験者で練習を見てくれる人を募った。保護者などはボランティア指導員として入ってくれたが、それだけでは手が足らず、指導者マッチングサイトも検索、見つけたコーチには1回あたり2〜3時間で7500円の費用を支払うことで合意できた。

こうして、週1回の有料指導員に加え、保護者や地域のボランティア指導員でローテーションを組んだ。こうした取り組みは、同校のほかの部活動でも導入されていた。学校からの援助金年間36万円を有料指導員の費用として充てることで賄った。

結果、顧問がいなくても、大人の目のある状態で練習はできるようになったのだが、担当により指導法がバラバラに。ある指導者は、練習前に全員を集合させて、今日やるトレーニングについて説明するが、ある指導者は、何の説明もなく子どもたちに自由に練習をさせていた。

「この先生のときは集合してからだったかな?」生徒たちは“日替わりコーチ”のバラバラ指導に翻弄されてしまう。こうして、一貫した指導が受けられなくなったチームは教員が顧問を務めていたときよりもまとまりのないチームになってしまったのだと言う。「指導員同士の連携の重要性を感じました」(日野田教諭)。

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