合理的!「部活を外部委託」する学校の緻密な手順 聖学院中学校・高等学校が行う改革の中身
「通常業務に重ねて部活動の顧問をするのは、あまりにも責任と負担が重すぎます」
教師のやる気だけに頼るには、あまりにも荷が重い。そんな中、学校でもさまざまな取り組みが始まっている。
「子どもたちのため」という誘惑
2020年度から一部の部活動で外部指導員制度の導入を始めたのは、東京都にある聖学院中学校・高等学校だ。スポーツスクールなどを運営する会社と契約を結び、指導員を派遣してもらうことを始めた。
現在、この会社に指導員派遣を頼んでいるのは高校サッカー部と中高卓球部。サッカー部の場合、初年度は日本サッカー協会A級コーチライセンスを保持する元Jリーガーの指導員が派遣された。
これまで長年、同部の顧問を務めてきた 髙橋孝介教諭は「自分たちが教えるよりも、生徒のためになっていると思います」と語る。しかし、外部指導員をお願いするには費用もかかる。この取り組みを始める前には失敗もあったという。
同校が部活動のいわゆる外注を考えたのは、顧問の引き受け手不足からだった。一般の会社と同様に、教育の世界でも団塊の世代が退職の時期を迎え、長年熱心に部活動を行ってきた教員が次々と退職している。部活動をいらないものと思う教員は少ないが、いざ自分が担えるかと言えば、二の足を踏む人が多かった。「改革が必要だと感じました」と話すのは、同校総務統括部長(教頭)の日野田昌士教諭だ。
日野田教諭は前出の髙橋教諭と共に20年ほど中学と高校それぞれのサッカー部で顧問を務めているが、中学サッカー部の場合、毎週末に練習試合を入れていた。
公式な試合は年に4回から5回ほど。その間に練習試合を組むのだが、練習試合を隔週にした場合、その日が雨だと場合によってはまったく練習試合のない月ができてしまう。慌ててほかの日に練習試合を組もうとすれば、対戦相手探しからもう一度始めなくてはならない。すべての週で練習試合を組んでおけば、こうした場合の保険にもなる。
だが、全部が晴れることもある。試しにある年の手帳を見ると、部活動のために休日出勤したのは年間28回で、GWもすべて試合を入れていた。
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