関西を代表するJR新快速、指定席「Aシート」の現状 時速130kmで2府3県を貫く俊足列車の付加価値

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京阪神間の複々線では普通や快速の内線走行に対し特急と同じ外線を高速運転する新快速 (さくら夙川ー芦屋間、写真:久保田敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2022年8月号「52年目を迎えて曲がり角の新快速」を再構成した記事を掲載します。
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1日2往復限定の指定席Aシート

2022年5月の平日、新大阪から姫路へ下り新快速のAシートに乗車した。「Aシート」はコロナ禍前の頃から急速に台頭した有料座席化の流れを新快速も採り入れたもので、2019年3月にスタートした。しかし223系を改造した車両はクハ222形1007と1008の2両のみで、試行的に運用されるうちにコロナ禍となってしまった。現在もその2両が編成別に組み込まれ、1編成使用、もう1編成は予備として運用しているため1日あたりの充当列車は2往復のみと、運転本数の面でも新快速の総本数の中ではわずかな存在である。

平日は網干7時21分発3424Aから3449A→3514Aの順で野洲→姫路→野洲、そして夜の3537Aで網干に23時16分着となる。土休日は時間帯を変えて姫路8時40分発3434Aから3455A→3494Aの順で野洲→姫路→野洲と往復、そして夜の3525Aで姫路21時34分着となる。指定席発売のためにわかりやすく示す必要から「新快速〇号」と列車愛称が付され、平日、土休日とも運行順に2号、1号、4号、3号となっている。また、列車番号も連結の有無を明確にするため、他の新快速は末尾Mだが、Aシート連結列車はAである。

野洲発姫路行き「新快速1号」は11時53分に新大阪到着、54分発車となる。223系または225系基本8両編成の米原方に併結した4両編成の姫路方、9号車がAシート車。数人が乗車して着席するが、すぐに車掌がハンディ端末を手に回ってきて、「ここは指定席です」との案内に隣(10号車)の一般車両に移る人が少なくない。

一駅走って大阪は、年嵩の女性3人グループや若い女性が乗ってきて、やはり指定席は相対的に女性の人気が高いのかと思ったが、これも1人2人と一般車に促された。結局、落ち着いてみれば姫路観光と思しき女性グループと、この希少な指定席自体を楽しむ風情の青年がチラホラ目に付き、総勢では定員46人に対して10人ほどだった。

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