朝の輸送に見た「東武伊勢崎線」列車種別の醍醐味 特急・急行・準急…その位置づけには個性が

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都心から40km圏の要衝春日部駅で並ぶ上り急行と下り特急(写真:久保田 敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2023年7月号「東武鉄道伊勢崎線の列車種別を解明」を再構成した記事を掲載します。

朝、まもなく7時という頃に春日部駅に立った。連続立体交差工事が始まり駅舎は仮設化されたが、ホームはまだ昔の姿で残っている。上下線間にホームのない中線を見る点が、昔日の貨物輸送を伝えている。浅草起点35.3kmだから、山手線からだと地下鉄銀座線上野―浅草間2.2kmのゲタを履かせて、概ね40km圏の範囲と言えよう。他方面を参照すると東海道線東京―戸塚間40.9km、中央線新宿―八王子間37.1kmといった距離感覚だ。

南栗橋から次々に出庫する10両編成

その春日部から都心通勤となれば速達型の列車でほぼ1時間。7時台がピーク時間帯となり、ダイヤは1時間に23本が詰まっている。半蔵門線直通の急行8本、準急3本、浅草行き区間急行7本、日比谷線直通の普通4本。それに春日部は通過する特急「りょうもう」1本がある。平均2分40秒ほどの間隔で上りの1番線に流れ込んでくる。朝の上りには区間準急はない。

着発する様子を眺めていると、運転系統と種別の関係の背景が見えてくる。7時台前半は4〜6分間隔で急行が集中し、その前後に加わる準急ともども南栗橋発が圧倒的に多い。対する区間急行は久喜以遠の館林発、という具合にきれいに色分けされる。7時20分から40分間は区間急行、急行、準急の順で繰り返され(一部に日比谷線直通の普通が入る)、それが都心通勤の最ピーク時間帯と察しがつく。

東武スカイツリーラインの通勤車両の基地は、50000系は南栗橋、10000系・70000系は北春日部と大別される。半蔵門線直通以前の列車は6両や8両が主で、古い車両基地は半蔵門線直通用10両貫通編成の50000系や直通相手先の車両を取り込む設備が限られる。そのため10000系以前の車両(2〜8両編成)や日比谷線直通用70000系(7両編成)は北春日部(南栗橋車両管区春日部支所)に属し、50000系は2000年代に機能を集積させて大きな姿となった新しい基地である南栗橋車両管区(本区)に属する形になる。すると、朝、半蔵門線直通電車は南栗橋から次々に出庫するので、急行や準急は南栗橋始発となる。

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