朝の輸送に見た「東武伊勢崎線」列車種別の醍醐味 特急・急行・準急…その位置づけには個性が

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高架に上がり、北越谷からは北千住まで19.0kmの複々線である。民鉄最長で、他社より圧倒的に長い。外側が急行線、内側が緩行線である。東武伊勢崎線は、この複々線化によって通勤鉄道として劇的な輸送改善を実現した。

越谷場面でピーク1時間(7時15分〜8時15分)の運転本数は急行・区間急行・準急が計17本に普通14本、それに特急1本(通過)の32本で、竹ノ塚始発を加えた西新井の場面では普通が4本増えた18本で合計36本が運転されている。そして、朝ラッシュ時でさえ、日中の速度とあまり変わらない。新越谷―北千住間の急行の所要時間は日中15分、朝の急行・区間急行は16分である。1分長いのは、途中駅の停車時間をわりとしっかり取っているためのようだ。乗車した列車は、越谷で同一ホームの対面で中目黒行き普通と緩急接続を取っている間に、この時間帯唯一の特急である「りょうもう8号」に追い抜かれた。

都心側は速度差より目的地別で列車を選択

越谷付近は埼玉県下の東武スカイツリーラインで最も旺盛な需要を生む地域であり、とくに新越谷はJR武蔵野線との交差により新設され大発展した。

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乗降人員は現在の実質的都心側ターミナルである北千住に次ぎ、他の主要駅を圧倒的に引き離す。武蔵野線は今や自身が吸引力を持ち、そのため、ここでも多くの乗客の入れ替わりがある。

また、草加付近の車窓に現れる団地は、日比谷線との直通運転により大発展を遂げた現在の伊勢崎線の根幹をなす風景だ。距離的にこの付近になると、都心までの時間差も縮まるので速い急行を選ばず日比谷線直通の普通でもよいとの選択が考えられ、要は乗車駅と目的地の関係で、並行して走る急行・普通ともに込んでいる。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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