駅や車内、鉄道の「多言語表記」決まりはあるの? 日英中韓の4カ国語案内、いつの間に増えたのか

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鉄道事業者の実際の運用がどうなっているかについては、JR東日本に聞いてみた。

JR東日本では、国土交通省の「公共交通機関における外国語等による情報提供促進措置ガイドライン(2006年3月)」を参考にして日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語による案内を基本としており、「案内サインマニュアルで、日本語、英語による表記に加え、改札や出入口等の案内には中国語や韓国語も併記するよう定めている」(同社広報部)とのことであった。

具体的には、

① 来駅前の場面では、駅ナンバリングの導入、多言語ホームページやSNS(英語版Twitter、中国語Weibo)などによる情報提供
② 駅構内の場面では、案内サインの多言語表記(日・英・中・韓)、多言語(日・英・中・韓)での放送、日・英・中・韓の4カ国語で案内している運行情報へリンクするQRコード付きのポスターを掲出
③ 車内の場面では、車内LEDで英語運行情報等の提供、車内ドア上モニターで駅ナンバリングを日英2カ国語表記で行い、新幹線、特急列車では、日・英・中・韓の4カ国語で案内している運行情報へリンクするQRコード付きのシールの座席背面への貼り付けを実施

しているという。

ほかにも「社員による英語での肉声放送や社員が所持するタブレット端末に多言語情報提供アプリを導入して案内放送を実施し、大規模輸送障害時や災害時は、JNTO(日本政府観光局)と連携し、JNTOホームページへの運行情報を掲載するなどの多言語表記の運用をしている」(同社広報部)とのことである。

画面表示で多言語に対応

その昔、案内板は1枚のプラスチック製や金属製のものであったから、多言語表記をしようとすると表示できる範囲の物理的な制約もあり難しかったであろう。

京急・羽田空港第3ターミナル駅の駅名標=2020年3月(撮影:梅谷秀司)
相模鉄道・羽沢横浜国大駅の駅名標(撮影:大澤誠)
券売機の画面も多言語表記だ(撮影:大澤誠)

今は、券売機にしても車内の案内にしてもモニターでの表示が普及しつつあり、画面をいくつも切り替えられるから、より多言語表記がしやすくなっていると思われる。簡易な翻訳機やスマホ画面をかざしての意思の疎通という方法もあるが、一見してすぐに理解できる表記があるのは外国人旅行客にはありがたいのではないか。

私は以前イタリア旅行にいったとき、バスに乗って駅に向かったところ、乗るバスを間違えて目的の場所でない駅に着いてしまったことがあった。最終的な目的地であるミラノへのルートを駅係員にスマホの地図で示してきっぷを買ったことがあったが、やはり自身が理解できる言葉がないのは心細い。

外国人訪日旅行客の受け入れが本格的に再開された暁には、鉄道事業者に限らず、とくに途方に暮れたときの旅行客への道しるべになる表記が一層望まれる。

施設や車内の表記だけでない。最近では、車内放送でも外国語でアナウンスがされることが多くなった。眼だけでなく耳でも十分に案内を聞くことができればもちろん有用である。

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小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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