「自宅で保育する人にも手当」出す国のホンネ 賛否両論あるが…フィンランドの凄い政策

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教育は大学院まで無料のフィンランドだが、保育は無料ではない。日本と同じく、料金は所得に応じた金額となっている。それでも、子どもの年齢にかかわらず、利用料の上限は月288ユーロ(2021年)と比較的手ごろな価格となっていて、逆に所得が低い場合は無料となる。

また、多くの保育所では朝食と昼食が無料で提供されている。朝食はおかゆのようなオートミールなどシンプルなものだが、ただ子どもを起こして連れていけばいいだけなのは楽だ。

ただし、朝食サービスを利用するには早くに行かなければならないため、私の友人の多くは家で食べさせた方がいいと、サービスを利用していない。さらに、保育所に預けられる時間は最長で10時間と決められているため、残業をしている余裕はなく、親は定時で仕事を切り上げて迎えに行くことが求められている。

インクルーシブの方針

保育所は、毎日フルタイムで利用する人もいれば、週に何回か、あるいは半日だけの利用の人もいて比較的多様だ。また、フィンランドでは障がいがある子どもも、そうでない子どもも、同じように共に学ぶことを目指すインクルーシブの方針を採っている。障がいがあっても地域の保育所に通えるし、健康上の理由で通うのが難しい場合は、自宅に保育士が来て幼児教育が受けられる。

しかし、全てがうまくいっているわけではない。緊縮財政による保育士不足は深刻で、2016年には3歳以上の子どもに対する保育士の割合を、従来の子ども7人あたり1人から、8人あたり1人へと一旦引き上げたり、親の就業状況によっては保育所に預けられる時間を制限したりした。

しかし、2019年に社会福祉の充実を目標としている社会民主党が政権に返り咲き、人数や時間の制限は以前の状況に戻った。そうした動きの一方で、現在では保育の無償化や5歳からの幼児教育の義務化の議論も行われ、実際、全国規模の実証実験も行われている。

保育所と同じぐらい大切な親への支援制度が、「在宅保育の休業制度」だ。子どもが3歳になるまでは仕事を休んでも職場が確保され、復帰後に必ず同じポジションに戻ることが保障されるというものだ。

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