「自宅で保育する人にも手当」出す国のホンネ 賛否両論あるが…フィンランドの凄い政策

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このように賛否両論ある在宅保育の制度だが、今のところは大きく変化する様子は見られない。ただ、今後は徐々に利用は減るのではないかと推測されている。いずれにしても、どの保育形態でも公的支援が得られ、親の選択肢が広いことはフィンランドの特長である。

共働きを前提とし、配偶者控除はなし

保育所の確保や在宅保育手当以外にも多種多様な支援制度がある。例えば、子どもが17歳になるまで一定額を支給する児童手当があるし、産休・育休も1960年代以降に充実し、父親も休暇が取れるように時代と共に変わっていった。

税制にも変化があった。1976年には扶養控除や配偶者控除を撤廃し、夫婦であっても1人ひとりに課税をする「個人単位課税」が導入された。

これは配偶者の収入状況が自分の所得税に影響しないことを意味していて、日本のようにパートで働いて年収を抑えた方が世帯としては節税になるといった状況が成り立たないことを示す。それよりも男女にかかわらずフルタイムで仕事をし、納税することが求められるようになったのだ。

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北欧諸国の社会に詳しい東洋大学の藪長千乃教授も私の取材に対し、「福祉国家と女性の社会参加の関係には、税制が影響している」「個人課税方式の導入で、専業主婦やパートで働くことへのインセンティブがなくなりました。実は、夫婦単位での税制は、いまだにヨーロッパでは多くの国で選択的に使用されています。日本は個人単位の税制となっていますが、扶養控除制度や社会保険制度での非課税配偶者の優遇など、実質的には夫婦単位課税に近くなっており、女性が補助的な労働者となることを固定化させています」と語ってくれた。

さらに、1970年代、職場での男女差別を禁止する法律ができたことで、女性は牧師や軍隊の幹部以外であればどんな仕事にも就けるようになった。現在は、全ての職業で性別による制限はない。

政治の世界でも、かつては社会保健大臣や教育大臣が女性議員のためのポストで、財政大臣や国防大臣は男性という暗黙の了解があったが、1990年代からは女性も財政や国防の大臣職に就くようになり、男女間での暗黙の壁が壊れ始めた。また、大統領選にも女性が出馬して、男性候補者とほぼ変わらない投票数を獲得するようになっていった。

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