「自宅で保育する人にも手当」出す国のホンネ 賛否両論あるが…フィンランドの凄い政策

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休業補償が出る育休は子どもが1歳になる頃に終わるため、通常はこれが仕事に復帰するきっかけとなる。しかし、この在宅保育の制度があるので、もっと子どもと過ごしたいと望めば、最長3年間、父親でも母親でも安心して休むことが可能だ。

私の友人も、この育児休暇取得中に所属先の会社で大掛かりなリストラがあったが、「私が元に戻る権利は法的に保障されているから、絶対にリストラにあわない」と断言し、子育てに専念していた。

在宅で保育をしたら、その間には保育所を利用しないことになる。そこで、在宅保育をしている親に国からお金を給付する「在宅保育手当」も1985年に誕生した。

この制度が生まれた背景には、施設での保育のニーズがそれほどなかった農村部から、保育施設を利用している都会の人たちにばかり税金が費やされ、自分たちには何のメリットもなく不平等だという訴えがあったことが影響している。都市部の自治体にとっても、手当を出すことで在宅保育が増えれば、保育所の利用が減るというメリットもあった。

保育は自治体にとってかなりのコストがかかるので、在宅保育をする親には国からの在宅保育手当に加え、多くの自治体が独自に手当を支給してきた。

自宅での保育に手当はいくら出るのか?

具体的には、国からの手当は3歳以下の子ども1人に対して毎月350.27ユーロ(2021年現在)。私の友人の場合は上の子も同時に在宅で育てていたため、自治体独自の保育手当などが加わると月あたり約6〜7万円ほどを受給していた。

こういった手当は保育者が祖父母の場合でも受給可能だ。自宅での保育はお金をもらうのに値する立派な仕事であり、それは「自宅で保育という大変な仕事をしてくれてありがとう」という国による感謝のメッセージにも見える。

この在宅保育手当は給与よりは少ないが、無給になるよりはよっぽどいい。実際、2018年には82%の家庭が一定期間、在宅保育手当を利用している。

一番多かったのは子どもが1歳半になるまで受給したというもので、最長期間の子どもが3歳になるまで利用する人は、年々減少していて約10%。利用者は決して多くはないのだが、休暇が切れるから、仕事がなくなるから、新学期が始まるから……と慌てて保育所に入れるのではなく、親と子どもの心と体の準備ができたところで預けることが可能になる制度だ。

実際、保育利用の割合を見ても、子どもが1歳未満で預けている家庭はわずか0.9%、2歳未満で36.8%だ。女性の就業率も、子どもの年齢が3歳未満の場合には48.2%と一時的に低くなる。これは他の北欧諸国と比べても、かなり低い。

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