知らないとヤバい!本当に美味いお茶の秘密 伝統の宇治茶職人が教える水の使い方
静岡茶などと並んで『日本三大茶』と称される宇治茶。しかし、現在「宇治茶」といっても、実はほとんどがブレンド茶なのである。京都府内産の宇治の茶葉が50%以上含まれていれば、特定の県の茶葉をブレンドしても宇治茶と名乗ることができる。
そんな時代の中でも、三星園では京都府内にある茶畑で取れた茶葉のみを使用した「純正宇治茶」を提供している。そこには「伝統の味と日本茶の歴史を伝えていく」という、上林さんの職人としてのこだわりがある。
100g=1万円の茶葉が持つ究極の味
通常のお茶屋では、茶葉を問屋から仕入れて売るという業務形態が多い。効率や利益を重視すれば、機械による大量生産や茶葉をブレンドしたお茶を提供したほうがよい。
しかし三星園では、味にこだわり、宇治の茶葉生産者との契約の中で、茶葉の仕入れから製造まで直接行う。手摘みで手間ひまかけた茶葉を使っている。こだわり抜いたお茶の中で、最も美味しいのが100g=1万円相当の茶葉で入れた玉露だ。
玉露は、緑茶の中の最高級品。玉露に使う茶葉は、通常の茶葉とは異なる栽培法で育てられる。茶葉は、光合成を行うことで渋み成分のカテキンを増加させる。しかし、新芽が出始めたら、あえて日光を遮って光合成を抑制する。日光を遮って、カテキンの増加を抑えることでうま味成分であるテアニンを多く含む茶葉ができる。これにより、甘みとコクのある味わいが完成する。
本来、茶葉は茶畑から1年に何度も収穫ができる作物である。そのシーズンの最初に摘んだ茶葉を一番茶、2度目に摘む茶葉を二番茶、3度目を三番茶と呼ぶ。二番茶以降は味が落ちるので、ほうじ茶にすることが多い。三星園では、玉露用の茶葉を摘む茶畑では1シーズンに1回しか茶葉を摘まない。茶畑を傷めずに栽培することで、最高級の味を守っている。