早期リタイア「FIRE」を目指して結局後悔する理由 FIREの資金ができた頃、「つまらない人間」に

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堀江:悠々自適なんてボケ一直線だ

「FIRE」を達成したところで虚しいだけだ。悠々自適なんてボケ一直線である。かつて母親からこんな相談を持ちかけられたことがある。

「老後にマンション経営がしたいから、地元にマンションを建ててほしい」

「はあ?」僕は呆れた。

地元というのは福岡の田舎町である。そんな場所にマンションを建てたところで資産価値なんてない。投資のなかでは最悪の部類になる。なによりマズいのは老後にマンション経営をやろうというその発想だ。お金の心配をせず、老後くらいゆっくり過ごしたいというのが母の言い分だった。でもそんな暮らしをすればボケ一直線だ。

クソみたいなマンション投資は論外だし、母がボケてしまうのも嫌だ。だから僕はこう説得した。

「年金や蓄えが足りなくなったら俺が補填するから、頼むからマンション経営とか勘弁してくれ。そんなことよりボランティア活動をしてくれ」

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不服そうだったが、それでなんとか納得してもらった。その後、母は年金をもらいながら、学童保育でボランティアをするようになった。いまや小学生たちから「堀江先生ーっ!」と慕われるほどになったという。かなりやりがいを感じているようだ。子供たちと触れ合うことでフレッシュな気持ちになれるとも言っていた。母がボケることはなさそうだ。なによりである。

これはある産業医から聞いた話だ。65歳以上の人のうち、社会的責任を負っている人と、さして負っていない人とでは、寿命が7~8年も変わるらしい。

たとえば、町内会長やマンションの管理組合の役員などをやっている人は年老いてからも元気で長生きする傾向があるのだという。彼らはややこしい人間関係と対峙しないといけない。でもそれが張り合いになる。適度な忙しさとストレスは健康維持に貢献するそうだ。

だからFIRE生活なんて目指すべきではない。日々、やりがいを感じて暮らしている僕の母のような人生を送ってほしい。

堀江 貴文 実業家

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ほりえ たかふみ / Takafumi Horie

1972年、福岡県生まれ。実業家。SNS media&consulting 株式会社 ファウンダー。現在はロケット開発や、アプリのプロデュース、また予防医療普及協会として予防医療を啓蒙する等、様々な分野で活動している。会員制オンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」のメンバーは2000人を超える。『本音で生きる』(SB新書)、『多動力』(幻冬舎)等、著書多数。

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山崎 元 経済評論家

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やまざき はじめ / Hajime Yamazaki

1958年札幌市生まれ。東京大学経済学部卒業。経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員、株式会社マイベンチマーク代表(投資と投資教育のコンサルティング会社)と複数の肩書を持つ。三菱商事、野村投資信託、住友信託銀行、メリルリンチ証券など計12回の転職経験を生かし、お金の運用、経済一般、転職と自己啓発などの分野で活動中。著書に『超簡単 お金の運用術』(朝日新聞出版)『「投資バカ」につける薬』(講談社)『お金がふえるシンプルな考え方』(ダイヤモンド社)など著書多数。馬券戦略は馬連が基本。【2024年1月5日編集部追記】2024年1月1日、山崎元さんは逝去されました。心から哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りします。

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