早期リタイア「FIRE」を目指して結局後悔する理由 FIREの資金ができた頃、「つまらない人間」に

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
堀江:悠々自適なんてボケ一直線だ

「FIRE」を達成したところで虚しいだけだ。悠々自適なんてボケ一直線である。かつて母親からこんな相談を持ちかけられたことがある。

「老後にマンション経営がしたいから、地元にマンションを建ててほしい」

「はあ?」僕は呆れた。

地元というのは福岡の田舎町である。そんな場所にマンションを建てたところで資産価値なんてない。投資のなかでは最悪の部類になる。なによりマズいのは老後にマンション経営をやろうというその発想だ。お金の心配をせず、老後くらいゆっくり過ごしたいというのが母の言い分だった。でもそんな暮らしをすればボケ一直線だ。

クソみたいなマンション投資は論外だし、母がボケてしまうのも嫌だ。だから僕はこう説得した。

「年金や蓄えが足りなくなったら俺が補填するから、頼むからマンション経営とか勘弁してくれ。そんなことよりボランティア活動をしてくれ」

決定版! お金の増やし方&稼ぎ方
『決定版! お金の増やし方&稼ぎ方』(徳間書店)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

不服そうだったが、それでなんとか納得してもらった。その後、母は年金をもらいながら、学童保育でボランティアをするようになった。いまや小学生たちから「堀江先生ーっ!」と慕われるほどになったという。かなりやりがいを感じているようだ。子供たちと触れ合うことでフレッシュな気持ちになれるとも言っていた。母がボケることはなさそうだ。なによりである。

これはある産業医から聞いた話だ。65歳以上の人のうち、社会的責任を負っている人と、さして負っていない人とでは、寿命が7~8年も変わるらしい。

たとえば、町内会長やマンションの管理組合の役員などをやっている人は年老いてからも元気で長生きする傾向があるのだという。彼らはややこしい人間関係と対峙しないといけない。でもそれが張り合いになる。適度な忙しさとストレスは健康維持に貢献するそうだ。

だからFIRE生活なんて目指すべきではない。日々、やりがいを感じて暮らしている僕の母のような人生を送ってほしい。

堀江 貴文 実業家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ほりえ たかふみ / Takafumi Horie

1972年福岡県八女市生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」は1万数千人の読者を持ち、2014年には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタート。『ゼロ』(ダイヤモンド社)40万部超、『本音で生きる』(SBクリエイティブ)30万部超などのベストセラーがある。近著に『10年後の仕事図鑑』(落合陽一氏との共著、SBクリエイティブ)など。

Twitterアカウント:@takapon_jp
その他詳細はHORIEMON.COM

この著者の記事一覧はこちら
山崎 元 経済評論家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまざき はじめ / Hajime Yamazaki

1958年札幌市生まれ。東京大学経済学部卒業。経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員、株式会社マイベンチマーク代表(投資と投資教育のコンサルティング会社)と複数の肩書を持つ。三菱商事、野村投資信託、住友信託銀行、メリルリンチ証券など計12回の転職経験を生かし、お金の運用、経済一般、転職と自己啓発などの分野で活動中。著書に『超簡単 お金の運用術』(朝日新聞出版)『「投資バカ」につける薬』(講談社)『お金がふえるシンプルな考え方』(ダイヤモンド社)など著書多数。馬券戦略は馬連が基本。【2024年1月5日編集部追記】2024年1月1日、山崎元さんは逝去されました。心から哀悼の意を捧げ、ご冥福をお祈りします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事