東大生が数学嫌いに伝えたい「面白さがわかる」技 机の上だけではなく日常生活の中でも学ぶ
1つ目は、道路の標識で険しい上り坂や下り坂によく見られる、「勾配10%」などの警戒標識に隠されている数学的な意味について説明します。
誤解されがちなのですが、実は「勾配10%」という数字の意味は、坂の角度が水平な地面から測って10度である、という意味ではないのです。端的に言うと、1%=1度にはなっていないのです。
角度に関しては、皆さんご存じのとおり、一周を360度と定義し、直角が90度、真っ直ぐに開いた直線の角度が180度と表されています。
では、勾配の「パーセント」は何を表しているのでしょうか。
このパーセントは、「水平方向に進んだ距離の長さに対しての、垂直方向に上昇した高さの割合」を表しています。一般的に道路標識においては、「100m進んだ際に上昇した高さ(m)」がその値になっています。つまり、角度とはそもそも測り方が異なるのです。
勾配には「タンジェント」が使われている
ちなみに、勾配10%は角度で表すとおよそ5.7度となります。勾配20%はおよそ11.3度、そして、勾配100%はピッタリ角度45度を表します。
ここまで説明してきて、ピンと来た人もいるかもしれません。そうです、この「勾配」には、数学の三角関数の1つである「tan(タンジェント)」が使われているのです。タンジェントを皆さん覚えていますか。「sin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)」の1つです。高校数学で習う大きな概念の1つになります。
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このタンジェントは、「直角三角形の1つの鋭角に対する、底辺と対辺の比」であると定義づけられています。
つまり、上で説明した勾配のパーセントとまったく同じように、「進んだ距離の長さと、上昇した高さの比」であるのです。そう考えると、tan45°が1であることから、45度の坂道が勾配100%と対応していることも納得できるのではないでしょうか。
「角度」を「三角関数」で数値化して、それを百分率に直したものが「勾配」。最近使い道があるのかと議論されていた三角関数ですが、意外なところで日常に活用されていたのです。こういったところから学んでおくと、三角関数に対してより深い理解ができるようになるのです。
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