東大生が数学嫌いに伝えたい「面白さがわかる」技 机の上だけではなく日常生活の中でも学ぶ
さて最後は、インターネットのセキュリティーに用いられている数学についてみていきましょう。
皆さん、「素数」を知っていますか。素数とは、「1とその数以外を約数に持たない数」と定義づけられており、小さい順に2、3、5、7、11、13……と続いていきます。この素数、実は皆さんが日ごろ当たり前のように利用しているインターネットの暗号化に利用されているのです。ここでは、その仕組みについて簡単に説明したいと思います。
インターネット上に個人のクレジットカードの情報を入力したとしましょう。その際、カードの情報は素数を使った暗号で守られます。
具体的には、269と347といった2つの素数を掛け合わせて「93343」という数を作ります。これがインターネット上で行われる「暗号化」です。これを解読するには、93343という数字を「269×347」という2つの素数に分解する必要があります。これが暗号の解読なのです。
素数を割り出すのは非常に難しい作業
さて、ここで考えてみてください。「269×347」という計算は、時間はかかるとしても多くの人が筆算によって計算することができると思います。ですが、「93343」は何と何の掛け算でしょうか?と言われたとして、計算することできるでしょうか。
まだこのくらいの数字では、計算の得意な人ならば解読できるかもしれません。しかし、20桁や30桁、それ以上と言った膨大な数になるとどうでしょう。人間の力ではとうてい不可能で、計算機、スーパーコンピューターを使っても非常に厳しい解読作業になります。
これが「暗号化」の仕組みなのです。つまり、この素数の暗号が、誰も解くことができないという前提で暗号化が行われているのです。
このように考えてみると、何気なく授業で習っていた「素数」も、面白みが出てくるのではないでしょうか。素数は中学高校問わず問題に使われる非常に重要なテーマなのですが、普段の生活の中にありふれているというわけなのですね。
いかがでしょうか。このように、数学は非常に幅広い分野で日常に応用されているのです。東大生は、机の上だけではなく日常生活の中でも勉強しています。数字は本当にいろんなところに存在しており、そしてその数字を追っていくと、机の上での勉強でも活かせます。
「学校で習ったことは社会では活かせない」なんて言われており、数学はその際たる例として取り沙汰されがちですが、しかし実はそんなことはないのです。みなさん、ぜひ日常に隠れた数字を探してみてください!
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