条件つきで愛情を与える親の典型的なNGパターン 子どもの「恐怖心・罪悪感・義務感」を過剰に刺激

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毒親ってどんな親? 3

子どもは親の期待にこたえられなければ、罪悪感を抱くことになります。心をコントロールするのがうまい親なら、例えば「前に自分でやるって言ったけど、ダメだったんだから言うことを聞きなさい」という表現をします。そうすると子どもはたしかにダメだった、とその罪悪感を刺激されて、もう言うことを聞くしかないなとコントロールされていくのです。

あるいはリストカットするような、精神的に不安定な親であれば、子どもに向かって「お母さんの言うことを聞かないなら、もう死ぬから」と言ってみたりします。そうすると子どもは親が死んでしまうから、言うことを聞かないといけない、となるわけです。

しかし、親からすると「子どもを殺すと言ったわけじゃないから、虐待じゃないでしょう」と考えているのです。自分の命や体で駆け引きして子どもの罪悪感をあおる。そんなことをされたら、子どもは身動きがとれなくなってしまいます。

夫婦げんかは子どもに関係ない

DVを受けている母親が「あんたが勉強しないから、お母さんはお父さんになぐられるのよ」と子どもに対して、はっきり言うこともあります。悲壮感たっぷりに言って、やはり子どもの罪悪感をあおります。

『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』(主婦の友社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

でもこれ、本当は子どもではなく、自分の夫と話をしなければいけないことです。うまく子どもに責任を転嫁して、親は自分の精神安定を保っているわけです。とてもこわいケースですが、虐待が20万件超もあることを考えると、こういう例は非常にたくさんあるというのが実際のところかもしれません。

こういった虐待が発見された場合、病院から学校、行政へとつないでいくことで、風穴があいていくことがあります。そこで初めて親自身が、子どもにプレッシャーを与えていたのかとか、自分にも病気があったとか、いろいろとわかることや気づくことがあります。

ですから、そもそも子どもは親だけで育てられるものではないという考えをもって、どんどん家庭を開いていってほしいです。

井上 智介 産業医・精神科医

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いのうえ ともすけ / Tomosuke Inoue

島根大学医学部を卒業後、さまざまな病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約40社を訪問。精神科医・健診医としての経験も生かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動。精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務。うつ病、発達障害などを中心に、精神科疾患全般に対応。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に、「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、SNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。

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