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数学者オイラーが視力を失っても平気だった理由 とんでもない記憶力と計算力を持つ孤高の天才

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  • 本丸 諒 サイエンスライター
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オイラーは1734年、画家の娘カタリナ・グゼルと結婚し、13人もの子どもをもうけて幸せな人生を歩んでいたが、思わぬ不幸が訪れた。1735年~1738年にかけて(30歳頃)、右目の視力を失ったのだ。さらにおよそ30年後には左目の視力も失い、ついに両目とも見えなくなった。

しかし、オイラーは悲しむどころか「おかげで気が散らなくなった。前より数学の研究に打ち込める」と言ったという。

なぜ、オイラーは悲しまなかったのか。その秘密は、彼の驚くべき計算力と記憶力にあった。実際、オイラーは子どもたちに口述で数式を書き取らせ、頭の中だけで膨大な計算をやってのけていた。

8桁×8桁の暗算もすぐにできた

オイラーの記憶力、計算力の一端を物語るものとして、次のような話がある。まず、記憶力。彼はウェルギリウス(B.C.70年~ B.C.19年)の叙事詩「アエネーイス」全12巻を若い頃に読み、その後もそらんじていたという。アエネーイスとはトロイの英雄の名前で、ウェルギリウスはこの作品に11年をかけたという、長編の叙事詩である。

また、オイラーの計算力に関してもエピソードがある。あるとき、2人の弟子が複雑な級数計算をしていたが、50桁目の計算値が合わなかったのでオイラーに尋ねた。すると、オイラーは素早く暗算し、どちらが正しいかを言い当てたという。8桁×8桁の計算もすぐにできた。

ちなみに筆者は珠算1級で、段位まで練習した経験があるが、8桁×8桁を暗算で処理することはできない。

オイラーは、類稀なる記憶力と計算力の持ち主だったが、視力をなくしたことで、さらにそれらの能力が研ぎ澄まされたという。

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【優秀でも職に就くのは難しかった】

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