長生きする地域の人が「食べないモノ」の共通点 ブルーゾーンの人は何を食べ何を食べないのか
ここで、平均的なアメリカ人が2018年には100kgの赤身肉と鶏肉を食べたという事実と比較してみよう。これは歴史上かつてないほど多い数字だ。また、これには卵、牛乳、チーズなどの動物性食品は含まれていない。私たちがこれまで以上に急速に高齢化しているのも頷ける。
加齢とともに貧血になりやすく、体が弱くなるのは、鉄分が不足しているからだって? 1950年代から60年代にかけてのアメリカでは、鉄分を豊富に含む滋養強壮剤「ジェリトール」が「鉄欠乏症」の治療薬として大流行した。だが、ちょっと待ってほしい。体内に蓄積された鉄分は、実は老化現象の促進に大きな影響を及ぼすのだ。
デンマークとスウェーデンの研究者が、献血を頻繁に行うと鉄分濃度が危険な域まで低下するかどうかを数百万人の献血者を対象に調査したところ、年齢やそのほかの健康状態を加味したうえで、献血回数の多い人は少ない人に比べて有意に長生きであることがわかった。
これは、献血によって体内の鉄分量が減少したためだ(同様に、女性が男性よりも長生きする理由として、女性は人生の約半分の期間、毎月かなりの量の鉄分を月経によって排出していることが挙げられる)。
鉄が私たちを老化させる理由
鉄の働きを調べた別の研究では、生後4日目のセンチュウに鉄を与えたところ、急速に成長し、すぐに生後15日目くらいの大きさになった。これは些末なことに見えるかもしれないが、センチュウの全寿命はわずか4週間ほど。
つまり、鉄を与えたことで、センチュウの寿命は約3分の1に短縮されたのだ。鉄が私たちを老化させるのは、ミトコンドリアの機能を阻害するからだ。
ご存じのように、鉄はヘモグロビンの構成成分だ。ヘモグロビンは赤血球に含まれる物質で、全身に酸素を運ぶ働きをする。また、ミトコンドリアは酸素を使って、ブドウ糖や脂肪分子を「分解」し、エネルギーを作り出す。
一見すると、血液中の鉄分が多いほど、ミトコンドリアへの酸素の供給量が増え、エネルギーの産生量も増えるように見える。だが、実はその逆のことが起きているようだ。
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