長生きする地域の人が「食べないモノ」の共通点 ブルーゾーンの人は何を食べ何を食べないのか
だが、こうした文化をよく見ると、穀物が地中海式食事法のマイナス要素になっていることがわかる。つまり彼らは、穀物をたくさん食べているから健康で長生きなのではなく、穀物をたくさん食べているにもかかわらず健康で長生きしているというわけだ。
その証拠に、穀類を主食としているためにイタリア人の関節炎の発症率は全体的に高く、とくにサルデーニャ人は免疫疾患の発症率が高いと言われている。こうした長寿地域であっても、腸内微生物叢は穀物食に適応していない。
ブルーゾーンの人々の食生活はバラバラ
このようなグループの栄養パターンには重複する部分もあるが、実際にはブルーゾーンの人々の食生活はてんでばらばらなのだ。詳しく見てみよう。
● ロマリンダのセブンスデー・アドベンチスト教会の信徒は、大豆タンパク製の代替肉という形でナッツや大豆をたくさん食べている。この代替肉は、脱脂大豆粉に高温・高圧をかけて押し出して作られる。何年もロマリンダに住み、これを食べてきた私に言わせれば代替肉は「ミステリーミート(謎肉)」になりうる。見た目も味もスパムに似た「ワム」という商品もこの仲間だ。
豆好きの方は注意してほしい。代替肉は加圧調理された大豆であり、大豆のレクチンは加圧調理すれば破壊できる。つくづく、アドベンチストの人々は賢い。セブンスデー・アドベンチスト教会の信徒の大半はベジタリアンかヴィーガンだが彼らの食事は脂質が50%も占めている。どうやら脂質50%の食事が長寿につながるようだ。
● ニコヤ半島に住む人々の主食は、コーントルティーヤ、豆、米。
● 長寿を誇るサルデーニャ人は、海岸から離れた山間部に住んでいるため、魚はほとんど食べない。だが、ヤギのチーズやヤギの肉、ソバと小麦で作ったパン、膨大な量のオリーブオイルを摂取している。
● イカリア島の人々は、たっぷりのオリーブオイルはもちろん、ローズマリーなどのハーブや、スベリヒユという雑草をよく食べ、朝食時にはワインを飲むのが習慣になっている。
●50年以上前の伝統的な沖縄の食事では脂質はあまり摂られず(摂る脂質はたいてい豚のラード)、豆腐や米もほとんど食べられなかった。米も玄米ではなく白米だ。食事の約85%は炭水化物である紫イモで占められていた。
● キタバ島の人々はタバコが大好きで、タロイモ(炭水化物)とココナッツ(飽和脂肪酸)を大量に食べる。ところが、彼らはとても痩せている。心臓発作や脳卒中を起こす例も少なく、医療を受けずに90歳まで生きることも珍しくない。
● アッチャロリの人々は、アンチョビと大量のローズマリーとオリーブオイルを摂り、たくさんのワインを飲み、パンやパスタは食べないがレンズ豆は大好きだという。
さて、こうした人々の共通点は何だろう? 意外なことに、それは何を食べるかではなく、何を食べないかなのだ。だがそれを明らかにする前に、2つの地域(キタバ島と沖縄)の住民が大量に摂取している炭水化物の種類を見てみよう。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら