「勝手にシンドバッド」が強烈な印象を残した必然 「砂まじりの茅ヶ崎」からの歌詞が歴史を動かした
作詞:桑田佳祐、作曲:桑田佳祐、編曲:斉藤ノブ&サザンオールスターズ
シングル、1978年6月25日
「砂まじりの茅ヶ崎」
「そのとき歴史が動いた」という言い方は、今や、ありとあらゆる歴史本における常套句となっているが、少なくとも日本ロック史において、この《勝手にシンドバッド》という曲が、歴史をググッと動かしたということに、異論を挟む向きは少ないだろう。
日本ロック史の転換点。《勝手にシンドバッド》以前/以後──。
そんな《勝手にシンドバッド》の歌い出し、つまり革命へのはじめの一歩が、この「砂まじりの茅ヶ崎」という8文字、「すなまじりのちがさき」と音にして10文字なのである。
あえて音にしたのは、1番の終わりが「胸さわぎの腰つき」(むなさわぎのこしつき)と、こちらも10文字で締められていて、さらに「すなまじりのちがさき」「むなさわぎのこしつき」と音韻的にもかなり近似しているからである。「歌詞よりもリズムやメロディ優先で作っている」と思われがちな桑田佳祐だが、このデビュー曲の歌詞については、かなり周到に仕組まれていることが分かる。
ここで注目したいのは、「茅ヶ崎」という具体的な地名の導入について。というのは、今でこそ茅ヶ崎は「湘南」エリアを代表する地名だが、1978年当時はそれほどメジャーな地名ではなかった。いくら自身の生まれ故郷とはいえ、デビュー曲の歌い出しに「茅ヶ崎」は、さすがに唐突だと思うのだ。
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