フリーランスから「会社勤め」を彼女が選んだ理由 池澤あやか「自分の可能性、もっと広げたい」
――30代になってからフリーランスで働き続ける不安が増したとのことですが、収入面以外にも不安な点はあったのでしょうか?
そうですね。30歳という年齢は、2つの側面で節目だなと感じています。
1つは、エンジニアとしての「キャリアの節目」。もう1つが、出産・育児をはじめとした「ライフステージの節目」です。
まずキャリアについてですが、エンジニアは経験を重ねると、技術一本でやっていくか、マネジャーになって組織を束ねていくか、という2つの道に分かれていく傾向がありますよね。
このうち前者は技術力さえ磨けば引く手あまたなので、フリーランスでいたほうが稼げる場合も多いでしょう。一方で後者は、フリーランスでは経験が積みづらいキャリアパスです。
もちろん、長期的にお付き合いできるクライアントを見つけ、チャンスをもらえばマネジメント経験を積むこともできるかもしれません。ですが、自分の立場が「外部の人」だと、関われることにも限界があります。
そう考えると、少しでもマネジメントの道に進む可能性を残したいのであれば、会社の中でその経験を積むのがベストなはず。
「技術の道に進むしかない」のではなく、技術の道も、マネジメントの道も、「両方選べる」ような自分になれたらいいな、と考えました。
30代になって初めて会社員になることへの不安
――もう1つは、「ライフステージの節目」ということですが、具体的には?
これはエンジニアに限らない問題だとは思いますが、フリーランスって、自分が働かなければ、基本的に1円も入ってこないんですよね。
そして、個人事業主は会社員と違って育児休業給付金の対象ではないので、出産前後に仕事を休む場合はしばらく無収入です。
実際、フリーランスの友人は、「出産から2カ月後には仕事に復帰した」と話していました。
心から仕事が好きで、体調も問題なく、本人が「一刻も早く復帰したい!」と思っているならいいのですが、無理をしてでも「復帰するしかない」のは大きな不安要素です。
――30代になって初めて会社員になることに不安や抵抗感はありませんでしたか?
フリーランスとはいえ、これまでもチームで仕事をしてきたので、組織に属して働くことへの抵抗感はないですね。
以前までは社外活動や働き方などの面で制約が増える点は気になりましたが、最近はリモートワークや副業ができる会社も増えたので、「不自由さ」も緩和されつつあるのかなと。なので、特に不安はありません。