どんな人でも確実に「お金持ち」になれる方法 「どうやってたくさん稼ぐか」より大事なこと

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ここで改めて、お金持ちの定義について考えてみたい。

お金持ちとはいったいどういう人のことをいうのだろう。例えば年収500万の人はお金持ちなのだろうか。え、足りない? じゃあ1000万? あるいは2000万? 3000万? あるいは1億……?

でも実際のところ、この問いはまったくのナンセンスである。

稼ぎの多寡だけでは、その人がお金持ちかどうかは判断できない。例えば、年に100万円もあれば満足に暮らしていける人なら、年収150万円もあれば十分「お金持ち」だろう。でも年に2億円使わないと満足できない人は、年収が1億円でも「貧乏人」である。

「お金の心配」から解放される幸せ

そのように考えると、少ないお金で満足できる人ほど、ラクに「お金持ち」になれる確率が高いということになる。

そうなのだ。今の私は間違いなく「お金持ち」である。たくさんのお金を稼いでそうなったわけではない。少ないお金で満足できる自分を知ったからそうなったのである。

フリーランスゆえ収入は不安定この上ないが、これから収入がどうなろうと、それに応じてそれ以下の支出でハッピーに暮らせる自信があるからそうなったのである。つまりは、私は「永遠のお金持ち」になることに成功したと言ってもいいのではないだろうか。

とはいえ、いざそのような「お金持ち」になってみたら、その暮らしぶりは、かつて想像し、憧れ続けていたものとはまったく違った。贅沢なレストランで「美味しいもの」を食べたり、でっかいピカピカの家に住んだり、リッチな旅行をしたり……なんてことにはまったく興味がないし、頼まれたってやるつもりもない。

お金がどれだけあろうがなかろうが、日々家で一人自炊して一汁一菜を楽しみ、銭湯で常連さんと馬鹿話をして、小さな家で冷暖房なしの暮らしをすることを継続するのみ。ただただ質素な生活をキャッキャッと送り続けるだけ。だってそれが私は一番幸せなのだから。

こんな私だからこそ「お金持ち」になったのだ。

これをどれほどの人が羨ましいと思うかはわからない。

私もいろいろと思うところはある。

でも少なくとも、私は「お金の心配」からは解放された。それだけで十分に幸せである。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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