子供も親も知らない「卒業式にいない先生」の正体 担任、部活顧問も担う「非正規教員」の実態

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時には弱い立場につけ込まれ、難しい学級や面倒な校務を回されたり、年度途中で雇用を切られたりする。加えて、十分な研修・サポートも施されていない。こうした状況を見ても、教育行政が非正規教員を都合よく使い回そうとしている状況がうかがえる。

およそ5~6人に1人は非正規

現状、非正規教員は全国にどのくらいいるのか。文部科学省が今年1月に公表した「『教師不足』に関する実態調査」によると、臨時的任用教員の割合は、小学校で11.06%、中学校で10.90%、高校で6.95%、特別支援学校で16.92%となっている(2022年5月1日時点)。

これに、非常勤講師や再任用教員などの非正規教員を加えると、非正規率は小学校16.56%、中学校17.74%、高校18.68%、特別支援学校22.36%となり、全体では17.82%に上る(注)。およそ5~6人に1人は非正規教員という計算だ。民間企業に比べれば低いかもしれないが、教員という仕事の専門職性を考えれば、異常な数値と言えるだろう。

「そもそも担任や部活動顧問をする人が非正規でよいのでしょうか。私は臨時的任用教員という制度自体がおかしいと思います」(川島さん)

川島さんの言葉は、「同一賃金・同一労働」の観点からすれば、ごく当たり前の指摘と言えよう。だが、多くの非正規教員は雇用を握られていることから公に声を上げることができず、この問題は長く日が当たらずに放置され続けてきた。

そうして非正規教員は増加の一途をたどり、公立学校の雇用環境は極めて脆弱なものとなった。

(注)文部科学省「『教師不足』に関する実態調査」(2022年1月)を基に筆者が計算。非正規教員として、臨時的任用教員、産休・育休代替教員、再任用教員のほか、再任用教員(短時間)と非常勤講師については常勤1人当たりに換算した数を計上。

【東洋経済では教員の働き方に関するアンケートを実施しています】

→ご回答はこちらから

(第2回「文科省が蓋をする「教師の非正規率」の衝撃実態」

佐藤明彦 教育ジャーナリスト

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さとうあきひこ

1972年滋賀県生まれ。東北大学教育学部卒。大手出版社勤務を経てフリー記者に。編集プロダクション・株式会社コンテクスト代表取締役。『月刊 教員養成セミナー』(時事通信社)前編集長。教育書の企画・編集に携わりながら、教育分野の専門誌などに記事を寄稿。著書に『職業としての教師』『教育委員会が本気出したらスゴかった。 』『非正規教員の研究 「使い捨てられる教師たち」の知られざる実態』(ともに時事通信社)など

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