でも、実際はというと、もう多くのフランス人がコロナ禍は終わったと思っている。ワクチン接種も行き渡り、オミクロン株が以前の株よりも重症化率が低かったことなどから以前のような厳しい規制が行われるとは思っていない。
そして何よりコロナの時代を早く終わらせたいという欲求があまりに大きいので、若者世代を中心に、長い間閉鎖されていたディスコやクラブなど、以前と同じ生活を楽しむことを始めている。そして今では感染者数や入院患者数を以前のように毎日確認している人もほとんどいなくなった。
日本では今はどういう状況なのかな?
マンガにまで「言い訳」が必要な日本
くみ : 私も日本にいるわけではないから肌感覚ではわからないけど、公共空間でマスクをなくしていこうとする国の方針に対して、まだ早いんじゃないかとか、子供が心配というコメントをネット上で見かける。
日本はマスクしてないと批判がすごかったようで、政府関係者も企業や学校などの組織も少なくとも公式に写真を載せる際は必ずマスクしてたし、プライベートでもマスクなしの写真を載せるとき「※写真撮影のためにマスクを外しました」という注意書きもすっかり見慣れるほどだった。日常生活を漫画にしている人でもマスク着用していない漫画を掲載するときに「※実際はマスク着用していますが省略して描いています」と書いてあったり。
フランスではマスク着用が義務だった時でもここまで細かい感覚はなかったから、余計に日本では方針転換が大変なんだろうな、と思ってる。
エマニュエル : マスクに関して言えば、フランスでもまだちらほらマスクをつけている人を見かけることがある。高齢者の場合が多いけれど、それ以外の年代、10代の若者でも時々見かけるよね。
基礎疾患などのリスクがあったり、コロナにすでにかかって大変な思いをしたからだとか、ただ単に慎重なだけであったりと、マスクをつけている理由は人それぞれ。それは学校内でもいえることで、1クラスに1人か2人ぐらいの割合でマスクを着用している生徒がいる。
でもコロナ時代と変わっていないものもあって、あいさつの仕方だけは、コロナ前と同じようにとはフランスでもなかなかいかない。以前はビジネスの場面において会ったときには形式的にしていた握手もほぼしなくなったし、ビズ(頬のキス)も以前のように初対面の人であったり、誰とでもするという習慣はなくなって、本当にごく親しい人でしかしなくなってしまった。海外出張や対面での会議も2019年と比べるとまだまだ少ない。