「新しい資本主義」より「新しい経済政策」が重要だ 21世紀の経済構造にふさわしい経済政策とは?

✎ 1〜 ✎ 119 ✎ 120 ✎ 121 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

まず、「新しい財政政策理論」であるが、財政出動は、ほぼ常に経済成長にはマイナスである。

なぜ財政出動は経済成長にマイナスなのか?

理由は、第1に効率が良くないためだ。財政出動は、短期の景気刺激には有効な場合もある。だが、現実に、過去に日本で行われた財政出動は非効率なものが多く、効率が悪かったからである。「ワイズスペンディング」といくら言っても実現できないのだから、やめるべきである。

第2に、たとえ景気刺激策として効率的であったとしても、長期の真の経済成長にとっては必ずマイナスになるからだ。景気刺激とは短期の需要政策である。経済成長は長期的な供給力からしか生まれない。したがって、景気刺激の積み重ねは経済成長にならない。景気も経済成長率もGDPの短期的増加で測っているので誤解されているが、GDPの短期の増加は経済成長ではない。需要増加ではなく、供給力の増加が経済成長である。

そして、短期の需要刺激を行うとこの経済成長力が削がれる。なぜなら、短期の需要喚起策を行うと、経済のリソースがそちらに奪われ、将来の供給力増加のための長期投資が減少してしまうからである。

設備投資が需要増加でも長期の供給力増加でもあったのは、日本では1960年代の高度成長期までで、そのステージは終わった。なぜなら、現在、設備投資環境は恵まれすぎており、設備投資を行う意欲のある企業はすでにほとんどすべて行ってしまっているからだ。

現在、投資促進税制を行ってなされるものは、目先の販売に直接つながる投資(というよりは単なる変動コストの支出)であり、経済効果としては、投資のふりをした企業にとっての消費を刺激しているにすぎない。つまり、長期の供給力、成長力にはつながらない。

実は、これと同様に、金利を低下させる金融政策による投資刺激も長期の成長にはまったくつながらない。

次ページなぜ金利を低下させても長期成長には結びつかないのか
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事