43日間マグロ漁船に乗った男が悟った「4つの真理」 "極限状態"を乗り切る知恵がそこにはあった

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齊藤さんが乗ったマグロ漁船は、当時日本に約500隻程度あった中でも毎年トップクラスの売り上げを誇る船。漁業関係者から「日本一の船」と呼ばれたこともあり、そこには船員1人ひとりが活き活きと働ける仕組みがあったという。

睡眠は1日5時間という驚くべき環境

漁師の1日は、朝6時から始まる。

船を走らせながら、約100㎞(東京から富士山までの距離)もある長い縄を、5、6時間かけて海に流す。マグロが掛かるのを待って3時間程の仮眠。午後3時から縄を巻き上げる作業を行い、作業が終了するのは翌朝3時。そして朝6時から同じ作業が始まる。肉体労働をしている時間だけでも1日17時間にもわたり、睡眠は1日合計5時間程度だという。

台風に直撃すると波の高さは6mにも及び、大波が船に衝突すれば「ゴォーン!!」と衝突音が鳴り響く。大型トレーラーがぶつかったのでは、と思うほどの激しい音が船内を駆け巡り、床は平衡を保てず、魔法のじゅうたんを激しくしたような揺れを感じる。「このまま転覆するのでは……」と生きた心地がしない夜もあったそうだ。

食事は、船の揺れで食器を机に置くとあちこちに動くため、茶碗や皿を抱えながらとる。船の中で唯一、個人のスペースであるベッドは、カーテンを開ければ人に丸見え。船員の数だけ2段ベッドが並んでいるが、1人ひとりのベッドの大きさは幅60㎝。細身の齊藤さんの肩幅と大して変わらなかった。ベッドの縦の長さは180㎝のため、大きな人は少しひざを曲げなければならず、人によっては上体を起こす際に頭を天井にぶつける。

そのベッドがあるのはスクリューの真上。巨大なエンジンがなる音や、「ゴゴゴゴ……!」というスクリュー音がもろに響いた。道路工事の横に寝ているほうがマシだったと齊藤さんは振り返る。

こういった過酷な環境の中で、船員同士のコミュニケーションは円滑だったという。いったいその秘訣は何だったのか。

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