これがアメリカの「軍事企業」トップ10だ ボーイング以外にも多くの優良企業が上場

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そのため、当初は130機程度製造される予定だったが、結局20機ほどしか製造されなかった。2008年にグアムの空軍基地を飛び立ったB-2スピリットが、直後に爆発炎上したニュースが流れた。パイロットは無事だったのはよかったが、国防総省としては心中穏やかではなかっただろう。

電子レンジの発明も、軍事レーダー技術から 

7位のレイセオン・カンパニーは、「どっぷり度」ナンバーワンといっても過言ではない軍事企業だ。兵器売上高の割合は約86%で、大手軍事企業の中でもトップレベル。軍事用レーダーなどを扱う海上・航空の防衛システム、サイバーテロ防衛や情報収集システムを扱うインテリジェンス・サービス、またミサイルを製造するミサイル防衛システムが三大柱だ。特にミサイルメーカーとしては世界一で、巡航ミサイルのトマホーク、地対空ミサイルのパトリオット、中射程空対空ミサイルのスパローを製造する。

また、同社は電子レンジの発明企業としても有名だ。当時のレーダー設置担当技師がレーダーを操作した際、たまたまポケットに入れていたチョコバーが溶けたことから、マイクロ波を加熱に利用する発想につながり、電子レンジが誕生した。

誕生当初はかなり世間を騒がせたと想像できるが、近年も少し世間を騒がせている。2013年に、同社がフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアから個人の行動記録を収集し、将来の行動を予測する「リオット」と呼ばれるソフトウエアを密かに開発したと伝えられ、「人物監視目的で使用されるかもしれない」と、人権団体などから批判を浴びた。

8位のL3コミュニケーションズ・ホールディングスは軍事用の電子機器メーカーだ。積極的な企業買収で大手にのし上がってきた。米国防総省への売上げが全体の70%近くを占める。中心は防諜報活動や監視・偵察用などの通信システムの提供だが、民間軍事企業であるミリタリー・プロフェッショナル・リソーシズ(MPRI)も保有する。クロアチア紛争を終結に導いた「嵐作戦」と呼ばれる、1995年8月のクライナ・セルビア人共和国奪還作戦。この作戦にあたって、クロアチア軍を訓練したのがこのMPRIだった。

9位のテクストロンは、防衛から金融まで幅広く展開するコングロマリットだ。軍需としては、本土防衛の情報システムやヘリコプター製造などがある。多角経営企業だけに兵器輸出の割合は高くはないが、ベル・ヘリコプターなどは有名だ。1位のボーイングのところで紹介したが、同社はオスプレイの共同開発企業。同社のホームページによると、世界で使用されているヘリコプターの3台に1台がベルブランドだ。

10位のプレシジョン・キャストパーツは世界的な複合金属製品メーカーだ。航空機用の金属鋳造製品、ガス・タービン用の鍛造品、本体フレームやエンジン、着陸用ギアなどに使用される産業用特殊ネジを製造する。航空宇宙産業中心の企業であるため、兵器用売上高の割合は低い。

なお、2014年4月、武器輸出三原則の緩和で、日本でも実質的に兵器輸出が可能となった。それを受けてか、同年6月にはパリで開催された陸上兵器の国際展示会に日本企業が初めてブースを出している。

さらに7月には、三菱重工が製造するパトリオットのセンサー部品の輸出を日本政府が承認し、緩和後初めての武器輸出が決定した。あくまでもビジネス面からの観点だが、今回の緩和は、日本企業に新たな市場を提供した形だ。はたして、今回のランキング上位企業に匹敵するような軍事企業が育つだろうか。

久野 貴也 「米国会社四季報」編集長
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