30~40代から兆候も!「腎臓病」の知られざる怖さ 心臓病や脳卒中で死亡するリスクが高まる

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「腎不全になると、透析あるいは腎移植という選択肢を迫られます。日本では移植に必要な腎臓のドナーの数が圧倒的に少ないため、多くの腎不全患者は透析を行っています」と柏原さん。

透析には血液透析と腹膜透析という2種類がある。血液透析とは、体外に取り出した血液を専門の装置で濾過して体内に戻すという方法。腎機能の一部を機械が代行する。透析が受けられる専門の医療機関に週3日の通院が必要で、1回の治療に4〜5時間ほどかかる。

一方、腹膜透析は腹膜(胃や腸を包む膜状の組織)を腎臓の代わりとして使い、老廃物を排出する治療法だ。お腹の中に細い管を挿入して、透析液を入れたバッグを留置し、老廃物を透析液の中に排出させる。腎不全患者全体の3〜5%ほどが行っている。血液透析のように頻回な通院は不要だが、合併症のリスクが高いなどの理由から、あまり普及していないのが現状だ。

「透析のなかった時代は、腎不全は死に至る病気でした。それが、透析という治療法のおかげで、10年、20年生きられるようになりました。私の患者さんの中にも透析をしながら最長で30年ほど生きておられる方がいます」(柏原さん)

タンパク質の制限、減塩、水分管理が

とはいえ、1回数時間の治療を週に3日受けなければならない透析生活は、かなりたいへんだ。旅行はおろか、日常の仕事や家事などにも支障が出て、家族や周りの人たちの助けも必要となる。

さらに、CKDになると食生活の面でもさまざまな制限が必要になる。具体的には、タンパク質の制限、減塩、水分管理などだ。

タンパク質は体内で分解された際、その一部が老廃物となるため、濾過機能を担う腎臓の負担を増やしてしまう。タンパク質というと肉や魚などを思い浮かべる人が多いだろうが、米や麺類、パンといった主食にも多少含まれるため、それらも考慮して食べるものを選ぶ必要が出てくる。

塩分の摂りすぎも、腎臓が血圧を調整している以上、気をつけなければならず、厳格な水分管理も必要だ。脱水は腎機能を低下させる一方で、摂りすぎると水分の排出が間に合わなくなり、むくみや高血圧をもたらす。

次ページでは、自分の腎臓はどんな状態なのか
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