30~40代から兆候も!「腎臓病」の知られざる怖さ 心臓病や脳卒中で死亡するリスクが高まる
腎臓の病気にはいくつか種類があり、代表的なものとしては、慢性糸球体腎炎(IgA腎症)や糖尿病性腎症などが挙げられる。近年では、「タンパク尿が出ているか、腎機能が少し悪い状態」を表す慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)という概念が登場し、注目されている。
健康診断で行われる尿検査で「タンパク尿が出ている」、もしくは血液検査で「糸球体濾過値(GFR)が低い」という状態が3カ月以上続く場合、この病気が疑われる。
CKDは他人事ではない
このCKDという病気、決して他人事ではない。というのも、国内のCKD患者数は推計1300万人。成人の約8人に1人がかかっている身近な病気なのだ。しかも、働き盛りの30代〜40代からその兆候が出始めていることもわかっている。
「たかが腎臓ではなく、腎臓病のリスクを知って、負荷をかけない生活を送るよう心がけることが重要」と柏原さんは言う。
腎臓に負担をかけない生活のためにすべきことについて触れる前に、まず腎臓はどのような役割を持つ臓器であるかを知っておく必要があるだろう。
腎臓は背中側、左右に1つずつある臓器だ。水分やミネラルの量を調整して体液の濃度を一定に保つ、血液中の老廃物を尿として排出する、血圧のコントロールを行う、などの働きがある。また、血液を作るために必要なエリスロポエチンというホルモンの大部分は腎臓で作られている。
腎臓で重要な役割を担うのは、糸球体と呼ばれる毛細血管だ。血液から老廃物を濾過(ろか)する機能を持ち、腎臓1つにつき100万個ほどある(イラスト)。CKDは、この糸球体にダメージが生じて腎臓が正常に機能しなくなった状態を指す。
糸球体から血液やタンパクが漏れ出れば、血尿やタンパク尿となり、水分の調整能力が落ちれば、不要な水分が溜まって浮腫(むくみ)が起こる。本来は尿中に出ていかなければならない老廃物が溜まれば、尿毒症という状態をもたらしてしまう恐れもある。また、血圧の調節も腎臓が行っているので、高血圧になりやすく、エリスロポエチンの産生が減れば貧血になる。
何より怖いのは、腎臓病が進行していくことで生じる、腎不全という状態だ。
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