急進"ネクスト・ディズニー"が日本を席巻する日 存在感を増す「ポスト・GAFA」の正体

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主な理由は、日本の法律です。トークンを発行・上場して投資家に買ってもらうweb3的な新しいかたちの資金調達法は、スタートアップにとって非常に好ましい方法なのですが、日本ではこうした資金調達方法は、現時点では事実上不可能です。

日本経済新聞によると、仮に100億円分のトークンを発行・上場し、70%を自社保有、30%を投資家に売り出した場合、税務上の扱いは「自社保有70%=70億円の含み益」「投資家に売り出した30%=経費ほぼゼロの売り上げ30億円」となります。そうなると「合計100億円相当の利益」と見なされ、税率30%で30億円を税金として支払わなくてはいけません。

これでは投資家から調達した30億円を丸々税金として納めなくてはならず、トークンを発行した意味がほとんど失われてしまいます。かくして日本での資金調達を諦めた有能人材が、続々と税制的に有利なシンガポールなどに流出……というのが、いままさに起こっていることなのです。

今後の理想は

原因は明らかなのですから、やるべきことは明確です。優秀なweb3人材が自由に活動できる環境をつくるために、既存の法律では扱いきれないクリプトエコノミーに関する法整備を、規制強化ではない方向で進めること。具体的には、スタートアップが活躍できる場をつくるために、トークンの発行・上場にかかる重税を大幅に下げることが早急に求められます。

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この法改正を経て、優秀なデジタル人材を結集、国内で活躍の場を設け、やがては日本発のグローバルスタンダードをつくっていく、というのが理想的です。

また、これは外国人とも多く仕事をしてきた僕の印象なのですが、多くの外国人にとって、食事がおいしくて清潔な日本は、とても魅力的に映るようです。千葉工業大学で変革センターを立ち上げてからも、海外の優秀なエンジニアから「日本に呼んでほしい」という連絡がいくつも入りました。

だとすれば、税率を0%にするというのは難しいにしても、比較的低めにすることで、日本の次なるユニコーン企業を国内に引き留められると同時に、海外からも有望なスタートアップがやってくるでしょう。

伊藤 穰一 デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト・千葉工業大学 変革センター長

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いとう じょういち / Joichi Ito

デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。アメリカマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、2015年のデジタル通貨イニシアチブ(DCI)の設立を主導。また、非営利団体クリエイティブ・コモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。「Earthshot 世界を変えるテクノロジー」の番組共同MCを務め、ポッドキャスト「JOI ITO 変革への道」では定期的にNFTに関する話題を取り上げているほか、Web3コミュニティーの試験的な開発に取り組んでいる。

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