急進"ネクスト・ディズニー"が日本を席巻する日 存在感を増す「ポスト・GAFA」の正体

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いま、世界的に大きな関心事になっているのは「誰がweb3時代の覇者になるか」であり、僕は「マイクロソフト、Meta、Twitter、ソニー VS Bored Ape」の戦いになっていくと見ています。

単なる「猿の姿のPFP」からはじまったweb3の寵児が、ものすごいレベルの技術力と資金力で既存大企業をなぎ倒し、日本を席巻する日も近いかもしれない。それが、すでにリアルな未来として思い浮かぶくらいの話になっているのです。

なぜ日本では破壊的イノベーション企業が生まれないか

Bored Apeがこれほどの成長を見せているのは、大きく2つの理由が考えられます。1つは、そもそも流動性が高くグローバルなクリプトエコノミーを市場としていることです。

もう1つはNFTを発行するだけでなく、Bored Apeという1つのコミュニティをつくり、そこにトークンを投じることで資金調達をしていることです。

いくらNFTの市場が盛り上がっているといっても、NFTアートを販売するだけではコミュニティとしてのスケーラビリティには限界があります。そこにトークンの発行・上場を合わせるというダイナミックな発想こそがweb3的であり、Bored Apeが桁違いのプロジェクトに成長している最大の理由といえるのです。

さて、こういうとんでもない事例を見てから日本を振り返ってみると、どうでしょう。片や「猿の姿のPFP」から始まったものが、ダイナミックな発想で世界を獲りに来ている一方、日本では、ドメスティックマーケットしか見ていない大手IT企業が「流行に乗れ」とばかりにNFTビジネスをはじめています。

そのマーケットプレイスやウォレットで取引できるのは、自社サービスのユーザー(会員)だけ。ターゲットが狭過ぎますし、NFTをただのデジタルグッズとしか見ていない。スケールの違いに愕然としないでしょうか。

さまざまな構成要素がつながり合い、相互作用的に機能して初めて、web3のエコシステムであるトークノミクスが機能しているといえます。NFTという1つの構成要素だけを取り出してデジタルグッズを販売しても、何となく「web3感」が出ているだけで、真のweb3とは別物です。

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