急進"ネクスト・ディズニー"が日本を席巻する日 存在感を増す「ポスト・GAFA」の正体

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ムーブメントを一過性のブームで終わらせないためにもちろん日本には、日本特有の事情というものがあります。前にも触れたとおり、トークンの発行・上場に重税が課せられる。これは日本のIT企業のせいではありませんし、そもそも、こうした税制上の問題がなくても、既存のIT企業がトークノミクスを機能させるというのは、かなりハードルの高い話です。

実際、海外でも通貨的トークンと証券的トークン(ガバナンストークン)を発行・上場してNFTゲームなどをつくり、トークノミクスとして機能させる、などという業はスタートアップしかやっていません。それでも日本企業が、せめてNFTビジネスをグローバル展開するくらいの発想は持ち合わせていないと、本当にもったいないと思います。

イノベーションのジレンマ

いま、NFTマーケットプレイスを運営しているような大手IT企業なら、日本のコンテンツをグローバル仕様にして、グローバルマーケットに向けて展開することは、技術的にも資金的にもできるはずです。

すでに抱えているユーザーに向けてビジネスをしようとするのは、よくあるイノベーションのジレンマです。手堅い既存顧客を取り込むことばかりに注力し、グローバルで展開しようという発想には、なかなかなりません。NFTというものをもっと広い視野からとらえて、このジレンマを打ち破る必要があります。

僕は、日本の大手IT企業も、真のweb3の世界に一緒に入っていければと思います。日本に帰ってきた僕も新たにデジタルガレージのチーフアーキテクト(技術者)として一緒にweb3に相応しいかたちに変容させていくつもりです。

日本はもしかしたら、文化的に表層を真似るのは得意だけれども、アーキテクチャーごと変えるのは苦手なのかもしれません。

ファッションや食文化を見ていても、海外のものを節操なく取り入れているように見えて、絶妙な匙加減で日本式にアレンジしているように見えます。外側はびっくりするくらい多様なのに、どうも根底にあるスピリットは一貫していて強固なのです。

何でも「当家流」に落とし込んでしまう器用さは、日本の持ち味の1つだとは思います。「外側が変わっても根本が変わらない」というのは、ある意味、芯が強いということ。

しかしいまのように、新しいテクノロジーによって大きなパラダイムシフトが起ころうとしているときには、それが仇になりかねません。「日本は日本、当家流でやっていけばいいじゃないか」というのは、楽観的過ぎます。パラダイムシフトすら当家流に落とし込んでしまうことで、新たに形成されているグローバルスタンダードに乗れないまま、世界で置き去りになる恐れがあります。

次ページコンテンツビジネスはNFTと相性がいいのだが…
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