急進"ネクスト・ディズニー"が日本を席巻する日 存在感を増す「ポスト・GAFA」の正体

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また、コンテンツビジネスはNFTと相性がいいと前に述べましたが、この点でも日本では残念なことが起こっています。すぐ目の前に拓けているグローバルマーケットに日本のコンテンツを輸出せず、国内ユーザーだけに販売するのは、さすがにデメリットが大きい。せっかく世界中にファンを持つコンテンツが多数あるというのに、肝心のコンテンツホルダーの企業が世界を相手に及び腰になりがちなのです。

理由は、知的所有権のコントロールがきかず、何かあったときの責任がわからない海外プラットフォームに対する忌避感でしょう。また、同じグループのほかの事業との間で売り上げを奪い合う、いわゆるカニバリゼーションが起こることへの懸念もあるかもしれません。

しかし、世界に目を向けないままでは、いったいどうなることかと思います。やがては世界から忘れ去られて衰退していく可能性だってある。

ただ、NFTマーケットにしても、まだ黎明期にあります。これまでのような「海外は苦手」という態度ではなく、積極的に海外からも学んでいき、しかるべき法改正などを行えば、それほど悲観的ではない未来が待っていると思います。

そのためには、まずはグローバルな発想を持つこと。web3界隈のトレンドを見ていても、日本をテーマにしたプロジェクトがたくさんあるなど、日本のブランドが世界でプレミアムになっていると感じます。

カルチャー面では韓国エンタメに敗れたなどと見ている人もいるようですが、ぜんぜんそんなことはありません。当然、日本人がプロデュースしているものばかりではないので、「なんちゃってジャパン」みたいなものもけっこう流行しているのです。

いま、世界では何が起こっているのかをしっかり見据えて、テクノロジーのリテラシーも高めつつ、グローバルマーケットを目指していけば、既存の日本企業にもまだ大きなチャンスがあるはずです。

デジタル人材の海外流出を防げ

長年アメリカで暮らしていた身ではありますが、僕は、アメリカ式の物事の進め方が必ずしも経済合理性が高いとは思いません。それに経済合理性だけで考えていると、何でもお金に換算することになり、おもしろいものが生まれにくくなる。

しかし、何かにつけて前例やしきたり、建前などを重視する日本の伝統は、合理性に欠ける部分が大きいと思います。日本経済が一向に浮上できないのも、そういう伝統によるところが大きいのではないでしょうか。

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