「おっさんホイホイ」には、3種類のとりもちが塗られている。それぞれ「原作への忠実性」「テーマの現代性」「喜劇性(コント性)」で、これらが黄金比率で調合された香りは、中高年男性を十分に惹き付ける魅力的なものである。
そう考えた上で、特に3つ目の「喜劇性(コント性)」に重きを置けば、シン・ウルトラマンの最大の敵は、禍威獣・ゼットンではなく、禍威獣・マスクではないだろうか。
マスク着用が義務付けられる映画館。いきおい声を出して笑うことははばかられる。『シン・ウルトラマン』のみならず、すべての映画において、笑いの要素が抑え込まれてしまう。
日本中の映画館から、笑いを奪い去る巨大透明禍威獣・マスク!
また最近は、自宅において、映画作品を早送りで観ることが一般化されつつある時代だ。対して、結果、映画館で観る映画が、必要以上にシリアスかつ大仰に捉えられる傾向が生まれているのかもしれない(これらの結果が、事前にネットで見た硬派で濃厚な批評群なのかも)。
コロナ禍が生んだ巨大透明禍威獣・マスクとの戦いは、まだしばらく続きそうだが、シン・ウルトラマンがマスクを退治した暁には、「禍威獣・マスク退散記念、大声爆笑上映」を開催してほしいと思う。メフィラスと神永が落ち合った浅草で。
そして続編だ。すでに報じられている『シン・仮面ライダー』への期待が高まるが、加えて、かつて日本を席巻した原作に忠実に基づいて、貧困という現代に通じるテーマ設定で、かつタイトルからして喜劇性を備えた『おシン』をおすすめしておきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら