「特別入試」で難関大学に子どもを合格させる方法 偏差値よりも「観察力」を高めた子が勝つ時代

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では、子どもの「学ぶ意欲」を育てるには、いったい何をさせればいいと思いますか? 

それは、「観察」です。あらゆる事象をじっくりと時間をかけて見つめさせることで、子どもの「学ぶ意欲」は驚くほど高まるのです。

新学習指導要領でも重要視されている「学ぶ意欲」。意図的なのか偶然なのかはわかりませんが、来年のNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」のモデルは、その鋭い「観察眼」で世界に名を馳せた、高知県出身の植物学者・牧野富太郎博士(1862-1957)。「観察」というワードに注目が集まる今、タイムリーな人選ですよね。

「観察力」がカギ? 偉人たちの共通点

富太郎は学校教育に物足りなさを感じ、わずか2年で小学校を退学。その後は、家の周辺の山々で植物採集に明け暮れ、その観察に没頭しました。そうして独学で身につけた植物学が、後に東大を、やがては世界をも唸らせることになるのです。

小学校中退という学歴で、富太郎が東大の理学部植物学教室に出入りすることを許されたのは、富太郎が持ち込んだ、あまりに精緻で膨大な数の植物図に、教授たちが驚嘆したためでした。富太郎は植物を詳細に観察することで、それぞれの小さな違いを見つけ出し、それらを記録して、日本の植物分類学の基礎を築いたのです。

富太郎に限らず、世の中で天才と呼ばれた人たちは、古今東西、皆「観察」の重要性に気づいていました。レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、ガリレオ、アインシュタイン、ニュートン……、彼らは観察することでしか、物事を深く理解することはできないと知っていたのです。

ふりかえって、現代の子どもたちはどうでしょうか。塾や習い事に忙しすぎ、何かをじっくり見つめることも、それについて思いを巡らせる時間もありません。自分で見聞きしてもいない事を教えられるままに暗記し、他人と順位を競い合う、そんな学びを何年も続けて、勉強をおもしろいと思えるはずがありません。

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