潜在成長率の低下が問題、規制緩和で民間活性化を--岩本康志・東京大学大学院経済学研究科教授《デフレ完全解明・インタビュー第8回(全12回)》

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--財政危機のリスクが指摘されていますが、消費税増税の論議は進みません。
 
 巨額の財政収支赤字が続いており、消費税増税は「する、しない」ではなく、いつするかというタイミングの問題だ。政治的な実行可能性を考えたら、早くて12年だが、経済にはマイナスの影響があるので、吸収できるだけの回復基調になることが前提だ。

国債市場で混乱が起きるきっかけは、国債の購入者が将来に対して抱く予想が大きく変化するというときなので、予測は難しい。自民党政権下の経済財政諮問会議では、2025年に向けて健全化を図るために、中長期でどうするかを議論していた。

しかし、昨年の6月に閣議決定された「財政運営戦略」は、このまま何もしないと危ないという姿を見せただけで、具体的に何をするか示していない。国内の機関投資家は、いまは財政再建可能とみているから、国債を買っているのだと思うが、政治的に消費税率が上げられないとの認識が高まれば、どうなるかわからない。貯蓄の増加分が国債の新規発行を下回ると、国債の償還が難しいとの予測が出てくる。15年頃には危なくなるという予測もあるほど、国債価格の暴落の危険性は高い。一方、暴落すると、機関投資家はみずからのバランスシートを傷めるので、買い支えに走るという可能性もある。

■デフレを理解するための推薦図書■
『ゼロ金利との闘い-日銀の金融政策を総括する』 植田和男 著/日本経済新聞社
『現代の金融政策-理論と実際』 白川方明 著/日本経済出版社
『金融政策論議の争点-日銀批判とその反論』 小宮隆太郎、日本経済研究センター 編/日本経済新聞社

いわもと・やすし
1961年生まれ。84年京都大学経済学部卒業、大阪大学経済学博士。京都大学助教授、一橋大学教授を経て05年から現職。財政制度等審議会財政制度分科会専門委員、統計委員会国民経済計算部会専門委員など歴任。近著に『マクロ経済学』(共著、有斐閣)。
撮影:吉野純治

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