6日間の北海道旅で感じた、鉄道移動の意外な魅力 JR北海道12000円乗り放題パスが地味にすごい

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JR北海道は、エゾシカなどとの衝突事故が多く、自然条件が厳しいこともあり、道外と比べるとどうしても遅延や運休などのリスクが高くなってしまう。筆者が乗車しようとした網走発旭川行きの特急オホーツクも、網走駅内の線路のトラブルで列車を引き込み線から出せず、出発直前に運休となった。

このときは代わりにキハ40の2両編成の臨時代行列車が仕立てられた。出発はオホーツクと同時刻、停車駅も同じで、ほとんどの駅でわずか30秒停車だが、さすがに特急と同じ速度は出せないので旭川駅到着は40分ほど遅れる。

臨時代行列車の行先標(筆者撮影)

行先標が珍しいので網走駅のホームで撮っていたら、乗り鉄らしいお兄さん曰く、JR北海道では鹿にぶつかったときなど、こうした代行を仕立てることは、さほど珍しくないという。

飛行機でいえば、「ダウングレード」に当たる。先を急ぐ旅なら腹立たしくもなるだろうが、こちらとしてはむしろ物珍しく楽しめた。北見峠の上越信号場付近では、5月の吹雪にも遭遇。改めて北海道の厳しさを知る機会となった。この翌日にも、宗谷本線の特急サロベツが運転席付近の雨漏りで遅延した。旅程には多少の余裕を持つか、あるいは遅れたときのプランBをあらかじめ用意しておくとよいだろう。

日本一しょぼいゲストハウスへ

今回の旅では、せっかく鉄道の格安パスを利用しているので、できるだけ駅から徒歩圏内で旅を完結するようにつとめた。だが、ターミナル駅周辺のビジネスホテルばかり泊まっても味気ない。そこで、グーグルマップを使ってローカル駅の駅近で面白そうな宿をくまなく探すことにした。

こうして見つけたうちの1軒が、宗谷本線の音威子府駅よりやや北に位置する無人駅、問寒別駅から徒歩3分のところにある「日本一しょぼいゲストハウス ウタラといかん」である。日本一しょぼいというのは筆者が評しているのではなく、宿のオーナー氏自らがそう名乗っている。

どれだけ「しょぼい」のかと、心して臨んだが、GW中にもかかわらず、ゲストはご夫婦が1組のみ。2段ベッドはカーテンで仕切られ、簡易的な個室となっており、想定したほど「しょぼく」はない。

このゲストハウスでは、近隣の入浴施設まで無料送迎してくれる。この日は宿から28km以上離れた日本海沿いの「てしお温泉 夕映」に入浴できたので、ゲストハウスとしてはむしろ風呂はきわめて高水準(入浴料は別途必要)とさえいえる。

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