6日間の北海道旅で感じた、鉄道移動の意外な魅力 JR北海道12000円乗り放題パスが地味にすごい

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困ったのは、「くしろ湿原ノロッコ号」とよばれるトロッコを模した観光列車で釧網本線の釧路湿原にある塘路駅に降り立ったときだった。網走駅行きまで乗り継ぎ時間が2時間54分。駅は無人駅でコインロッカーなどあろうはずもない。唯一の逃げ道が駅に併設されたカフェ「ノロッコ&8001」のレンタサイクルだった。

(左)停車中のノロッコ号と(右)二本松展望地から見た釧路湿原(筆者撮影)

いわゆるママチャリが1時間600円と高額だが、荷物を預かってもらう金額も込みと考え2時間自転車を借りて、約3㎞先の二本松展望地まで足を伸延ばした。ここは、知名度こそ低いが、筆者が釧路湿原で回った展望台のなかでは、最も眺望が優れている。この日も釧路の市街地にある日本製紙釧路工場の煙突まで遠望できた。

39分の乗り継ぎ時間に地ビール「羊をめぐる冒険」を

前述した塘路駅での3時間待ちは極端だが、JR北海道で旅をしていると、長い乗り継ぎ時間を過ごさなければならないケースがある。こんなとき、ついつい待合室などで時間をつぶしてしまいがちだ。だが、積極的に街に出ることをすすめたい。

事前に乗り継ぎ時間から行動半径を割り出し、その範囲内をグーグルマップなどで念入りに調べておくことをおすすめする。丹念に探せば、無人駅の近くにも興味深いものが見つかるはずだ。自分が知っているところに行くのではなく、知らないところに何があるかを探す旅のほうが面白い気がする。

宗谷本線の美深駅では特急と普通列車の乗り継ぎが39分あった。この間に駅から700m離れた日本最北のブルワリーを併設するRestaurant BSBでビール3種のテイスティングを楽しんだ。

美深白樺ブルワリー(筆者撮影)

そのうちの1つは「羊をめぐる冒険」というビール。もちろん村上春樹の同名の小説の舞台が美深町ではないかとされたことから名づけられたものだ。村上春樹の小説なら、主人公らはプール一杯分のビールを飲み干すのだが、こちらは往復1.4kmの徒歩時間を見越さなければならないのでさくっと店を出る。

■音威子府駅で「57分」停車

同じく宗谷本線の音威子府駅では、57分間停車となった。1980年代半ばの山陰本線などでは、長大編成の雑型客車の各駅停車が40分以上停車することはよくあり、停車時間中に駅前食堂でカレーを食べて、戻ってきてもまだ時間が余った。だが、令和の現代では、こうした超長時間停車が珍しくなっている。

音威子府といえば、かつて駅そばとして全国に名をはせた黒い「音威子府そば」が有名だ。筆者も停車時間中に駅近くの「道の駅おといねっぷ」で食べようとしたが、午前中の早い時間に売り切れてしまうらしい。「音威子府そば」を製造する畠山製麺が、2022年8月末でそばの製造終了を発表しており、すでに食べることや入手は困難になり始めているようだ。

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