NFTと「推し活」の相性がすこぶる良いカラクリ 二次流通のジレンマを解消する可能性もある

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これは、自分の作品が中古市場でやりとりされるのを快く思っていなかったクリエイターにとっても、悪い話ではないはずです。中古品の売買が自分の収入につながるなら、むしろどんどん売ってもらって、より多くの人に手にとってほしいと思うクリエイターもいるはずだからです。

実際、ユーザーが購入したNFTを二次流通市場で販売したとき、クリエイターやアーティストにも一定のロイヤリティが還元される仕組みをうたったサービスが続々と登場しています。

NFTが二次創作の「福音」に

さらに、二次創作の世界でも、NFTが福音となる可能性があります。二次創作作品をNFT化することによって、元ネタであるキャラクターなどの権利を持つ漫画家や出版社に対しても、ロイヤリティを自動で還元できる仕組みを構築できるからです。

NFTは、マンガやアニメ、イラスト、映画、ゲーム、アート作品、ライブパフォーマンスなど、オリジナルなコンテンツを創造し続けるすべてのクリエイターやアーティストにとって、新たな収入源となる可能性を秘めています。

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Jリーグやプロ野球のように根強いファンがいるプロスポーツチームやスポーツ団体、ファンクラブがあるミュージシャンや芸能人、コミュニティを運営するサロンオーナーや固定ファンのいるユーチューバーなどにとっても、NFTは、新たな収益源を提供してくれるかもしれません。

コロナによって世界が分断されてしまったことで、ファンとの距離が遠ざかり、苦労しているクリエイターも少なくないといいます。そうしたクリエイターがNFTを使えば、コンテンツ制作にかかる費用を直接回収できるだけでなく、ファンとの絆を強めることができます。あいだに入る人がいなくなれば、それだけクリエイターの取り分は大きくなり、たとえば、1000人の固定ファンがいれば、生活をまかなえるようになるかもしれません。一方、それを支えるファンにしても、好きなクリエイターを直接応援できれば、こんなにうれしいことはないでしょう。

NFTには、そうした親密で小さな経済圏を回す力もあれば、もっとずっと大きな、1つの産業を根本から変えてしまうような破壊力もありそうです。これからもNFTに注目してみてください。

大塚 雄介 コインチェック執行役員

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おおつか ゆうすけ / Yusuke Otsuka

早稲田大学大学院修了、物理学修士号取得。株式会社ネクスウェイでB2B向けITソリューションの営業・事業戦略・開発設計を担当。レジュプレス株式会社に参画(2017年4月よりコインチェック株式会社に社名変更)。2014年2月に取締役に就任。2018年4月にコインチェック株式会社がマネックスグループ株式会社の子会社となると同時に執行役員に就任し、マーケティング・事業開発などを統括。2021年4月より、執行役員として、マーケティングや広報、株主総会支援事業などを統括。2022年1月より、Web3.0時代を牽引するスタートアップを支援する「Coincheck Labs」を立ち上げ、投資や啓蒙活動に従事。

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