庶民の味方「焼鳥」の高級化が止まらない納得背景 「客単価1万円以上」が続々登場、今やデート飯に

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「焼鳥達人の会」イベントでは有名店の焼鳥が気軽に味わえる。手前は「鳥しき」池川氏(写真:上田佳代子)
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仕事帰りに軽く一杯、焼鳥でもつまんで……とサラリーマンの味方であった焼鳥は『ミシュランガイド』掲載を機にどんどん高級化。‟焼鳥デート”もすっかり定番となった。コース1万円以上の高級焼鳥店が開店するなか、焼鳥の高級化はどこまで進む? トリタツの愛称で知られる愛好家団体「焼鳥達人の会」青木照和会長に聞いた。

この10年で驚くべき進化を遂げた日本の焼鳥。『ミシュランガイド東京』2010年度版に焼鳥店が初掲載されて以来、提供スタイルの多様化や高級化がどんどん進み、いまは全国的に空前の“焼鳥バブル”が巻き起こっている。数か月先まで予約で埋まる店もめずらしくなく、「デートで焼鳥」はいまやすっかり定番に。

本記事はLEON.JPの提供記事です

大衆から高級まで幅広い焼鳥店の食べ歩きをライフワークとし、イベントなどを通じて焼鳥文化の発展に貢献してきた『焼鳥達人の会』(通称トリタツ)の会長、青木照和氏が考える日本の焼鳥の今と、これから。そして注目店はどこか? 会長が愛してやまない、紹介制の焼鳥店「中村屋」(東京・学芸大学)で話を聞いた。

「情報交換したり、気の合う仲間とつながるコミュニティが作りたかった」

――今、焼鳥の人気がまさに飛ぶ鳥を落とす勢い状態ですが、青木さんが焼鳥に注目されたきっかけはなんですか?

「僕はもともとレコード会社に在籍していて、主にライブや音楽イベントの制作に携わっていたのですが、その頃から焼鳥が大好きで、いろいろな焼鳥店に行っていたんです。焼鳥の奥深さに目覚めたのは2005年くらい。白金の『酉玉』*¹で、焼鳥ってこんなに美味しかったのか、とすごい衝撃を受けました。部位の種類や空間づくりも含めて、いわゆる“昔ながら”とは違う新時代の焼鳥が出てきたことに感動したのを覚えています。

その後、やはり音楽業界の仲間と『焼鳥達人の会』を立ち上げ、新木場のスタジオコースト(現在閉業)で初めてイベントを開催したのが2014年。焼鳥に特化した野外フェスは日本初だったので、反響もとても大きかったです。

出店者、スタッフ一同おそろいのトリタツTシャツを着て記念写真

イベントをやろうと思ったのは、『鳥しき』*²の池川義輝さんから、『僕ら、焼鳥の職人は横のつながりがあんまりないんです』という話を聞いたから。業界全体を盛り上げるためにも、情報交換をしたり、気の合う仲間とつながるコミュニティーがあることはとても大切。焼鳥の仕事をする人と焼鳥好きな人がひとつになって、その素晴らしさを語り合いながら世の中に拡げていく場所をつくろうと思ったのが始まりです」

*1 希少部位を提供することで知られる白金の焼鳥店。東京都港区白金6-22-19

*2 予約困難な人気焼鳥店。店主の池川氏は『プロフェッショナル~仕事の流儀』(NHK)に出演したことでも知られる。東京都品川区上大崎2-14-12

「中村屋」(学芸大学)にて、店主と談笑する「焼鳥達人の会」会長、青木照和氏。「お酒をゆっくり飲みながら中村くんと焼鳥の話をするのもこの店に来る楽しみ。焼酎にくわしいお客さんを連れてくると中村くんも嬉しそうなので、楽しく飲める人を誘いたいお店です」
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