庶民の味方「焼鳥」の高級化が止まらない納得背景 「客単価1万円以上」が続々登場、今やデート飯に

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――たしかに独特の空気感がある気がします(笑)。この焼鳥を食べるために学芸大学に来る方も多いそうですね。

「焼鳥店が町に人を呼べることを証明したのが、梅ヶ丘の『やきとりshira』*⁴。ここは最初におまかせ5本を注文して、追加で串をお願いするスタイル。初めて行ったときの衝撃がすさまじく、僕も何度も通わせてもらっています。メインであつかう淡海地鶏と天城軍鶏の焼きが本当に見事で、評判を聞いて地元以外からもたくさんのお客さんや同業者が来る。Shiraに行くために初めて小田急線に乗りました、という人も少なくないそうです(笑)。

そういうふうに求心力のあるお店は町を盛り上げる起爆剤になりますし、今後は都心よりちょっと離れたところに店を構える人も増えていくと思います」

*4 遠方からここを目指して訪れる人も多い、住宅街の気鋭店。東京都世田谷区梅丘1-22-1 Y’sステート B1F

学芸大学の駅から近い路地に店を構える「中村屋」。カウンター6席のみで、中村さんがひとりで店を切り盛りする。初回は紹介者とともに2日前までに予約を

焼鳥、おいしさの決め手は…

――焼鳥の美味しさは、やっぱり食材と焼きの技術が決め手になるのですか?

「もちろん、それも大切だけれど、自分の焼きのスタイルや目指す方向に合った鶏をいかに見つけるかだと思います。ブロイラーをめちゃくちゃ旨く焼ける職人がいたらそれは素晴らしいし、そこに理由があるなら熱源が炭であることにこだわる必要はないと僕は思います。

外苑前の『いろ鳥』*⁵の張ヶ谷栄司さんは、炭火と電気グリラーを使い分けていて、部位によって仕上げに炭の香りをまとわせたり、熱源の使いかたをすごく研究している。その“ハイブリッド焼き”に、長年焼鳥と向き合ってきた職人ならではの経験値の高さを感じます。

最近は関西の人気店が東京に進出するという流れもあって、焼鳥の輪がどんどん広がり、いいグルーヴ感が生まれている。SUSHIやTEMPURA、RAMENと並んで世界共通の食文化としてYAKITORIがさらに飛躍することを願っていますし、そのタイミングはまさに今だと思っています。今年の秋にはコロナで延期になっていた『焼鳥達人の会ファイナル』を東京と大阪で開催する予定。そこであらためて、焼鳥を愛する多くのひとたちが集えることを、すごく楽しみにしています」

*5 炭と電気グリラーを併用する“ハイブリッド焼き”で食べ手を魅了。和食と焼鳥を織り交ぜたコースは1万円~。東京都港区南青山3-2-6 セントラル第5青山1F1A

(文/小寺慶子  写真/上田佳代子)

炭火串焼き 中村屋
住所/東京都目黒区鷹番3-15-18
電話/非公開
営業時間/17:00~23:00
休/不定休 ※支払いは現金のみ
●焼鳥と焼酎をこよなく愛する店主が営む紹介制の焼鳥店。丸鶏からさばくので焼き上がりまでに時間がかかることもあるが、お酒を飲みながらゆっくりと待つのも楽しい。焼酎のほかクラフトビールやワインも。
青木照和
1959年横浜生まれ。レコード会社勤務を経て、1995年に音楽全般の企画制作を行う「アハバ クリエィティヴパーティー」を設立。前職時代から焼鳥を食べ歩き、現在も週3日で焼鳥店へ足を運ぶ。「焼鳥達人の会」会長として、イベント企画や企業とのコラボレーションを推進。
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