高度成長時代にはリスクを負って新しいことをしなくても業績が伸びていきましたが、経済が停滞してからは、新しいことを始める必要が出てきました。しかし、現在の会社の上層部の多くは、新たな取り組みに後ろ向きな旧トップ世代に引き立てられて上り詰めた人で、その次に控える中堅幹部層もその傾向があります。
一方、若い世代からすれば、従来のやり方では行き詰まるのが明白なだけに、変わらない体質に危機感と不満を募らせている。その矛先が自分たちの目の前にいるシニア世代の社員となっているのでしょう。シニア世代がこれから生き残っていくためには、こうした時代背景と、若者がなぜ「働かないおじさん・おばさん」と呼ぶのかを認識しておく必要があります。
その上で、どのようにして自分たちよりも若い世代と付き合っていったらいいのでしょうか。いくつか、私自身の経験から事例を挙げてみたいと思います。
同じ目線で受け入れてもらえるか
私が出向していた会社で、若い世代の人から「川端さんがライバルです」と言われたことがありました。もう10年も前のことで、その人は優秀な若手で今は管理職のポジションに就いていますが、こう言われた時に、少しの違和感と、大きな嬉しさを感じたことを覚えています。
「え、そうなの?」と聞き返したところ、私は業界も違う会社からきて、年齢も一般的には新しい知識のインプットが足りなくなるくらい年齢が上なのに、思いのほか業界知識もあるので、張り合っていくに値する、という趣旨の返答でした。
年功序列的な発想だと、こうした発言は「先輩を捕まえてライバルとは失礼な」ということになります。しかし、他業種から来た自分がその業界の気鋭の若手からライバルと認められた嬉しさがあり、自分にとっての自信になりました。そして、そういう発言をしても受け止められる人、年功序列で勝負しない人と思われたのだろうとも思いました。
また最近、スタートアップ企業でも一緒に働いている、入社間もない人から「川端さんのいいところをフィードバックします。なかなかそういうこともないと思うので」と言われました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら